僕らの寮部屋はストーリーと恋で詰まってます (ページ28)

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第27話ページ28

千秋side

杏に告白してから数日。

僕だけのお姫様になった杏は今日も今日とてかわいい。
文句無し、自慢の恋人。

でも、最近悩んでることがある。

それは―――

「杏、移動教室行こ！」

「うん！」

スっと僕に自らの手を差し出してくる杏。

その手を取れず、僕は杏から目を逸らした。

杏と付き合い始めて数日。
恋人らしいことは何も出来ずにいる。
今までは何も考えずに出来ていたこと全て、照れくさくて出来なくなった。

きっと、これは僕の中での杏への認識の変化から生まれたことだろう。

でも、せっかく恋人になったのに何もしてあげられずに歯がゆい思いをしている。

「千秋、移動教室遅れちゃうよ！」

そんな僕の気持ちを察してだろう。
杏は僕の手を強引に掴み、そのまま握った。

僕がナイトのはずなのに、この時ばかりは杏がナイトのように見えた。