第5話 ページ6
千秋side
「あーんっ、一緒に食堂行こう」
「うん!」
食堂に向かう僕たちの手は緩く繋がれている。
『恋愛経験が無いなら、作れば良いんだよ』
そう。
僕に足りないのは恋愛経験。
だったらそれを作ればいいんだ。
『作るって、どうやって?』
『簡単な事だよ。僕と付き合おう、杏』
『は?』
目を見開き固まる杏は無視して、思いついたことの全てを話す。
『今から男を作るのは無理があるし、何より僕たちが通ってるのは女子校だから出会いもない。それに、僕が頼れるのは杏しかいないの』
『千秋……』
『お願い、杏……』
こんな身勝手なお願い、断られても仕方ない。
でも、頼れるのは杏しかいない。
『……分かったよ』
『杏……!』
『僕は千秋の……楓元花先生のアシスタントだもん。協力するしかないよ!』
『ありがとう!』
こうして、僕たちは『お付き合い』をすることになった。
「……だからと言って、学校とか人に見られるところでこんなこと……」
「友達同士で手を繋ぐことくらい普通でしょう?でも、僕たちの中では意味が違うけど」
杏は僕よりも女の子らしくて『彼女役』としてはピッタリの子だ。
僕は『彼氏役』として杏をときめかせる。
そうすれば、きっと小説も上手くいく。
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作者名:月羽and月翼 | 作成日時:2020年12月30日 0時