涙は越えていこう。 3 (ページ5)

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望side

照史「んで、今回新書がまた10冊入るから望確認頼むな？、望？のんちゃん？」

大毅「おい小瀧。照史の話聞いてへんやろ。ってか俺の声耳な入っとるー？」

慎太郎「のんちゃん！！」ｸﾞﾗｸﾞﾗ

望「……ﾊｯ、ごめんみんな。新書、やっけ？明日確認しとく。たろ、ありがと。」

大我「ねえどうしちゃったの、のんちゃん。前のしげみたいだったよ？今。」

いつも通り毎晩行われる大人組の報告会。考え事をしてたから、いつの間にか耳に音が通らないほどボーッとしていたらしい。

たろの死ぬほど激しい肩揺らしでやっと気づいたら、前のしげが抱え込んでた時にそっくりや、と大我に言われた。

慎太郎「……、後で俺の部屋おいで。なんでかは俺は分かんないし今は教えてくれないでいいけど、寝れてないよね？隈、酷いよ。」

照史「……。んじゃ、のんちゃんのこと慎太郎お願いするな？とりま俺からの報告おしまい。最後、質問あるー？あ、のんちゃん新書は10冊やからね？覚えとけよ？」

望「ん、。」

みんなに見透かされている通り、大人組の過去を聞いたあの日から子供たちの過去が気になって、紙には書かれていない詳細を知りたくて聞いたらアカンけどと言うなんとも言えないもどかしさで眠れていない。

幸い、睡眠不足の度はそこまで酷くはなさそうで仕事もちゃんといつも通りこなせる。

慎太郎「のんちゃん、行くよ。」

またもやボーッとしていたのか気づいたら腕を引かれ慎太郎の部屋の前へ。

最近体調が優れていないシェリーが床に置かれたペット用のベッドに横たわっている。

慎太郎「ここ、おいで。」

望「ん、。」

慎太郎「俺らの過去、引きずっちゃった、？」

望「ちょっとだけ。」

慎太郎「不安そうな顔してる。絶対違うよ、ちょっとじゃないでしょ。」

望「もうええやんか……、そっとしといて。俺なら大丈夫。睡眠不足の度はそこまでやから。」

慎太郎「あっ、ちょっと！」

俺にとっての不安。

子供たちがここに来る前までのことを今も引きずっていないか。

優吾のセクシャルマイノリティ、淳太の宗教観、ジェシーの文化の違い、流星の他の子との違い、ともの喘息、たかのお人好しのせいで抱えてるストレスのデカさ、樹のグレてること、北斗の思考。

過去に引きずられて出来たものやないか。