涙は越えていこう。 3 (ページ11)

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照史side

慎太郎に望の夕飯を持ってく、と言われドアの開閉の音がひとつしてからもう30分も帰ってこない。

大毅｢……おい照史。｣

照史｢んっ？え、ぁ、どした？｣

大毅｢そんなに気になるなら行けばえーやん。小瀧のところ。園長命令勝手に作って使ったのはお前のいただけないところや。そこはちゃんと謝ってこい。｣

慎太郎と望の分、そして望の分のチキンを見てる北斗の分を取って置いて食事が始まった頃、少し鋭い目線でしげに言われた。

食事中に席をたつことは園でのマナー違反だが、俺はいてもたってもいられなくなって少し荒い足取りで望の部屋へ向かった。

のが、さっきまで。

望｢……あんさ、｢ごめん望。｣え、？｣

照史｢頭ごなしに叱ってありもしない園長命令出して。｣

俺は慎太郎が完全に席を外してから俺は頭を下げ謝罪を入れた。

1番に伝えておきたかったから。

望｢俺も、ごめん。生活習慣乱して。仕事もままならないくらい酒飲んで寝ないで。北斗達の紙取って。｣

そう彼が言うた次にこぼれたのは大粒の涙と｢子供達のことで不安になった｣という言葉。

人のなにか強い感情に引っ張られ安くて涙腺が非常に緩い。
それは出会った当初から変わらないはずなのになんで気づいてあげられなかったのだろうと悔やんだ。

照史｢俺も不安やで。まだ、自分のこともままならんのにな、こうやって職員含めたみんなを1番に守る立場におるのよ。集中出来ないからと言って溜めるんもそれがしんどくなって一気に発散するんも人が抱えきれなくなるほどの大きさになってるから俺らも対応できひん。やからちゃんと普段から俺ら頼り。不安は小出しにしてくれると俺らもありがたいわ、笑｣

お互いの気持ちを言い合ったあと2人で見つめ合ってなんだかおかしくなって笑う。

照史｢……ほな行くで。チキン食卓に北斗が出してくれてるから。｣

そう背中を押した。