02:朝の光景 ページ2
「蛇神様、ご飯ですよ」
清子が声を掛けても、返事がない。
「まさか」と思い、清子がご神体に行くと、
「もう！！また二度寝ですか！？」
とぐろを巻いた大蛇が、だらしなく眠っていた。
「蛇神様、起きてください」
清子は蛇神の体を揺さぶった。
すると、蛇神の赤い目が薄っすらと開いた。
「もう少し寝かせろ」
「ダメです！！今日は参拝客が来る日ですから。早く起きてください！！」
「ええい、やかましい…」
「えっ…？きゃあっ！？」
すると、蛇神は長い体を清子に巻き付けて、とぐろの中にすっぽりと納めてしまった。
「ちょ、ちょっと…蛇神？」
突然の事に、清子は顔を赤らめた。
そんな清子に、蛇神が耳元で囁いた。
「君も一緒に寝たまえ…」
甘い声で囁かれ、清子は痺れるような感覚に襲われた。
それでも、キッと厳しい顔をして、
「いい加減にしないと…蛇神様の大好物のブリ大根、私が全部食べますから」
すると、蛇神はギクッと体を強張らせた。
「…分かった分かった。起きれば良いのだろう？」
大人しく起きる蛇神。
清子はため息を吐いて、居間に戻っていった。
「それじゃあ、いただきます」
「いただきます…」
食卓につき、清子と蛇神は朝食を食べ始めた。
手が使えない蛇神には、清子が食べさせていた。
「清子の作る飯は、どれも美味しいな」
「フフッ、ありがとうございます。蛇神様にそう言ってもらえると、嬉しいですわ」
清子が微笑むと、蛇神はその頬に優しく頬擦りした。
「君のような妻を持って、私はこの世で一番幸せな神だよ」
「そ、そんな…！！恥ずかしいですよ…」
はにかむ清子。
それを見ていた蛇神に、悪戯心が湧いた。
かぷっ
「ひゃあっ！？」
耳を甘噛みされ、清子はビクッと肩を震わせた。
「へ、蛇神様〜！！」
「ハハハハッ」
愉快そうに笑う蛇神の体を、清子は何度も叩いた。
庭の雀達が、その様子を不思議そうに眺めていた。
続く (更新停止中)
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