21.テ ページ23
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やってきたのは墓地から結構離れた小さな丘
大分離れていたので、つく頃には少し薄暗くなり始めていた
「ここまで来れば心配無さそうですね」
鶴丸「こんなに人通りが無いところじゃないと話せない事なのか」
俺がそう聞くと、彼女は振り向いて少しだけ困った表情になった
「そうですね、人に見られると、少し恐いので」
少し驚いた
この女から「恐い」という言葉が出てくるとは思わなかった
浅井はおもむろに手袋を外し始める
なんだ外せるじゃないか、火傷とかで見せられない
とても言うのかと思ったがどうやら違うみたいだ
くるっと俺の方を振り向くと、彼女は言った
「もし、万が一のことがあったら 先ほどの鈴を鳴らしてください」
俺は鼻で笑う
鶴丸「鳴らさないと言ったら」
すると「…ならそれでも構いません」と言い残し俺に背中を向ける
なんだかそれが、俺には本当は鳴らして欲しくないんじゃないかとも思った
黙って見ていると、彼女は1本の木まで行きそこで立ち止まった
その木の隣には向日葵畑もある
少し遠いので俺も近寄った
さっき向日葵畑と言ったが、実際目に入ってきたのは、端っこの今にも枯れて倒れそうな向日葵だった
薄い手袋を懐にしまった浅井は、１つ深い深呼吸をした
普段色素のない瞳が赤くなっているのに気づく
鶴丸「…おいっ！その目………」
その時、俺は見たこともないものを見た
浅井が右手をゆっくりと向日葵に近づけ、それに触れる
すると枯れていたはずの向日葵が見る見るうちにこの畑のどの向日葵よりもみずみずしい青になり、花は落ちかけている太陽に向いた
むしろこの向日葵のほうが、今は太陽にみえる気さえ起こす
そのくらい生き生きとした向日葵
この数百年生きてきて、初めて見た
予想外すぎて驚いてはいるが、頭の中はしっかり冷えていて、この状況を把握しつつあった
続けて彼女は左手を木に近づけていく
この時俺は何も想像していなかったのだ
もう一度、瞳が赤く染まる
指先が木の肌に触れた瞬間、生い茂っていた緑の葉が一瞬にして橙色に変わったと思ったら、すぐに茶色くなって舞い落ちていく
葉がすべて無くなった木は、生きる意味を失ったかのように色を失い、枝は細く、幹は枯れ果てた、老婆よりも皺くちゃになった
手のひら全体を木につけた頃には、生い茂っていた緑のみの字も無かった
その一瞬の光景は
とても 美しく 儚く
そしてとても残酷だった
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琴葵(プロフ) - 面白すぎて一気にシリーズを見てしまいました！！！更新楽しみに待ってます！！！！！！！！ (2019年5月27日 19時) (
レス) id: b0ea0349a7 (このIDを非表示/違反報告)
千歳 - すごくおもしろいです！続編が読めないんですが私だけですか…?… (2019年5月25日 14時) (レス) id: 0f5e08b4d3 (このIDを非表示/違反報告)
滅月(プロフ) - とっっても面白いです！もっと評価されるべき…!! (2019年5月16日 21時) (レス) id: cd11303192 (このIDを非表示/違反報告)
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