【第五人格】ジョゼフさんと一緒！ (ページ13)

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↓(許してください) ページ13

「トレイシーにつくりかたを教えてもらったけど、一緒にいたわけじゃないから…その…」
「これ、私のために作ってくれたんですか…？」

「ああ、もちろん」

彼女の小さな手のひらより一回りもふた回りも小さなバレッタ。
彼女にとっては、何億もの金よりも、何カラットのダイヤモンドよりも重く価値のあるように感じられた。

他の誰でもない、ジョゼフが私のことを考えて作ってくれたものだから。

「嬉しい…っ」
「昼間は、急いでたから余裕がなくて…」

「ほとんど、見かけなかったもんなあ」
「本当にごめん。Aを傷つけた。どうすれば許してもらえるかな」

許すも何も彼女は怒ってなんかない。
だから何もいらないと言った。

しかし、ジョゼフの気が済まなかった。

「じゃ、じゃあ…今夜一緒に過ごしてくれませんか？」
「えっ」

「…ちょっと、Aアンタそれどういう今かわかってる？」
「え？あっ、いやその…」

「…そういえば、Aちゃっかりお風呂入ってはるもんなあ」
「えっと、…まあ、その何かあったときのために…」

彼女が言うことはつまり、ジョゼフともしあえて二人きりになれた時、やらしい雰囲気になることを考えてお風呂に入った。期待していた。
それを聞いて、良い気分になったのはジョゼフだけだった。

「…あー！なんだよ、ジョゼフの野郎がクソだって話を期待して、ずっといたのにこれか」
「本当ですよ。ジョゼフさんクソだと思ったのに」

「ジョゼフ、クソだな」
「ベイン、ジャックは許そう。ジョーカー、君は許さない」

「へっ、そんなの知らねーよ。あーあ、あんまうるさくすんじゃねーぞ」
「ジョゼフさん、避妊は大事ですからね」

今まで、ただただジョゼフのクソ話を期待して、空気のように佇んでいた輩たちは、話の流れの変化に呆れを示して、ゾロゾロと帰って行った。
それにつられて、マーサと美智子も自分の部屋に戻ってしまった。

残されたのは彼女とジョゼフだけ。
先ほどまでの賑やかな雰囲気はなく、しーんと夜更けの静かさに包まれていた。

「それじゃあ行こうか」
「え？」

静寂を破ったのは、ジョゼフだ。

「僕の部屋。一緒に過ごすんだろう？」
「えっと…その…」

「Aが作ってくれたチョコも食べたいしね」
「あ…」

「もちろん、Aもいただくよ」
「うっ…」

差し伸べられたジョゼフの手を取り、彼女は静寂な夜の部屋へと消えて行った。
その後、部屋で何があったか知るのは二人だけ。