存在意義 ページ1
この荘園に来て、自分の存在意義はなんだろうか。
写真家はふと考えていた。
ここでの自分の役目は、サバイバーを追い詰めること。この荘園から脱走するのを阻止すること。
でもそれは自分以外のハンターでもできることだ。
写真家は自分だけの存在意義が欲しかった。
自分の兄弟のようにいなくなった時、僕じゃなければダメだと思ってくれる理由、人、物が欲しかった。
「……ゼフさん?」
「……」
「ジョゼフさん!」
「…っ、ん…A…?」
変な考え事をしている間に寝てしまっていたようだった。
はっきりとしない思考で、なんとか自分の目の前にいる人物を認識すると、とても愛おしく思えた。
「勝手に部屋に入っちゃってごめんなさい」
「いや、それはいい…何か用?」
「用も何も、ジョゼフさんが私を呼んだんじゃないですか」
「え…?あ、そうだったか…」
「本当はホールでジョゼフさんが来るまで待ってようと思ったんですけど、その、ジョーカーさんがいらしてしまったので…」
「ああ…ジョーカー嫌いって言ってたな…」
嫌いじゃないです!苦手なだけで…と必死に誤魔化そうとする彼女を見ていると、なぜか写真家は胸が痛くなった。
彼女を見つめると、彼女は見つめ返してくれたが、すぐ頰を紅く染めて、目をそらされてしまった。
そのしぐさを見た途端、写真家は言葉にできない感情に支配され、彼女を抱き寄せた。
「えっ、あっ、ジョゼフさん…?どうしました…?」
「どこにも行かないでくれないか」
「えっと…あの…」
「ずっとこのまま僕といてくれ。お願いだから…」
写真家の声が震えているのを聞き、彼女は写真家を抱きしめ返すと、泣いてる子供をあやすようによしよしと背中を撫でた。
「どうしたんですか、いきなり」
「荘園から脱走しないで、一生僕といてくれ」
「え…それは…」
「サバイバーなんてやめてここで一緒に暮らそう」
「で、でも」
「ジョーカーが怖いなら僕が守る。お願いだから、僕を一人にしないでくれ…」
弱々しい写真家の声が部屋の中に響いた後に続くように、彼女はため息をついた。
「わかりました。ジョゼフさんと一緒にいますよ」
「本当かい…?」
「その代わり、ジョゼフさんも私から離れていかないでくださいね」
「もちろん。Aさえいればもう何もいらない。Aが僕のことを求めてくれるだけで、僕は幸せだ」
「私はジョゼフさんの存在する理由になりたいです」
写真家は彼女を強く抱きしめた。
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おジョゼー! - ジョゼフかっこいい好き! (2021年3月22日 2時) (レス) id: fdf829f708 (このIDを非表示/違反報告)
ヘルドクター鈴華@wrwrd(プロフ) - ジョゼダムさん» 崇めなきゃ(?) (2019年2月17日 0時) (レス) id: dce8cc84a5 (このIDを非表示/違反報告)
ジョゼダム(プロフ) - ヘルドクター鈴華@wrwrdさん» そうかもしれません (2019年2月14日 2時) (レス) id: 6c6b796440 (このIDを非表示/違反報告)
ヘルドクター鈴華@wrwrd(プロフ) - 貴方様は神か??(ジョゼフ激推し民) (2019年2月14日 0時) (レス) id: e3633e411b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アネモネ | 作成日時:2019年1月31日 1時