真冬に咲く薔薇 (ページ10)

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駆引ページ10

あの日、イスマン先生から届いたメールをきっかけに、私は韓国は渡る事を決めた。

『誇りを持って送り出せる子達』

『星みたいな子』

父がSMのオーディションで審査員をやっていた事も、新しいナムジャグループをデビューに尽力していた事も、薄々知ってはいた。

だから父の言っていた子達がNCTで、
父が見つけた原石が中本悠太。

そうイスマン先生から聞かされた時に、彼らの行先を見届けたいと強く思ったんだ。

あの人が残した、最期で最大の贈り物。

そのまま面識のある叔母に引き取られた私は、バイトをしながら高校を出て、韓国語を必死に勉強して、2017年の終わりに、ようやくSMに入ることができた。

入ることが…と言っても8割コネ入社になるから、突然現れた小娘にいい顔をする人は多くなかった。

藤間真の娘だと言うことは、イスマン先生に黙ってもらうことにしたから、余計に。

「マネージャーでいいのかい？もっと違う仕事でもあの子達の役に立てると思うけど」

「私はマネージャーには向いてないでしょうか？」

「…やっぱりシンの娘だ。
そう言う強気な所も、父親そっくりだよ」