□生徒会長と副会長 ページ4
「おはよう御座います、会長」
どれくらい時間が過ぎただろうか、Aは自分を呼ぶ声に目を覚ます。
生徒会室のステンドグラスからはすっかり朝日が差し込んでおり、かすかに小鳥のせせらぎも聞こえてくる。
彼を呼ぶ声の主は生徒会副会長のコンラートで、相変わらず親し気な笑みを浮かべてAを見ていた。
『嗚呼、おはよう。すまないが今の時刻を...』
朦朧とした意識のまま、何とかソファーから体を起こすAにコンラートは苦笑しつつ懐中時計を取り出した。
「食堂はもう閉じてますよ。こちらをどうぞ、卵のサンドウィッチです。」
『いつもすまないね』
「いえ。無理をしてばかりの会長を手助けするのも副会長の役目ですから。」
実はAがこうしてコンラートに起こしてもらうのは一度や二度ではない。入学して以来、唯一弱みを見せられる相手であるコンラートには二年間たよりっぱなしであった。
皆に尊敬され、畏怖の対象でもある「生徒会長ゴーント様」も、一人の人間である。
よってコンラートがAに頼られる事をちょっとした誇りに思っているのはここだけの話だ。
「眠れないなら久しぶりにノーブルベルカレッジのロロ・フランムさんに手紙を書いては如何でしょうか？以前はよくやりとりをしてらっしゃいましたよね？」
卵サンドをほおばるAにコンラートは紅茶を渡しながらそう提案した。
その紅茶の香りを堪能した後、満足げに飲み干してAは言う。
『ロロか。確かに最近はお互い忙しくて手紙を書いていないな。』
ロロ・フランム。同じ街で生まれ育ったAにとって、彼との縁は切っても切り離せないものとなっていた。
同じ生徒会長という立場であることもさることながら、幼少期をともに過ごした数少ない友人。彼はコンラートのようにAにとってかえの効かない人物である。
『助言ありがとう。早速今晩から書きとめることとしよう』
「夜更かししろとは言ってませんからね？！」
会長は頑張りすぎなんです...とコンラートが膨れてみせるとAは愉快そうにククッと喉を鳴らした。
『頑張るのが私の仕事だ。生徒会長という役目を闇の鏡から承った以上、途中で投げ出すわけには行かないからな。』
さあ、もうひと頑張りしようか。
そう言って身だしなみを整え、生徒会室を後にするAの後ろを、どこか心配そうな、それでいて頼もしげな顔のコンラートがついていった。
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桔梗(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます！大変励みになります。これからも本作をどうぞよろしくお願いいたします。 (2月17日 21時) (
レス) id: 8a1a5efa6e (このIDを非表示/違反報告)
あおい - コメント失礼します！とても面白いです！！素敵な作品をありがとうございます！お体に気をつけて更新頑張ってください！ (2月16日 20時) (レス) id: 63ae223e49 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：桔梗 | 作成日時：2024年2月12日 23時
