コンビネーション【短編集】 (ページ38)

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ふたりきり。【石川】ページ38

それは公式練習での出来事。
前日、惨敗したばかりの日本。
いつもより練習に力が入っていた。

石「うっ…」

「え、祐希…？！」

将「…あのバカ、」

「祐希どうしたの？？！」

ベンチで見てたあたしと、
前衛後衛交代待ちの将平さん。
将平さんは祐希の何かを知っている。

将「昨日、負けたのが悔しくて夜遅くまで練習してたんだ。その時に膝痛めたみたいでさ。Aには言わないでくれって言われてて…」

「なんでっ、」

将「心配かけたくなかったんだよ。とりあえずこのままコートに立たせるのは無理だと思うけど…」

「ありがと、しょーへー！！」

あたしは将平さんにお礼を言って
祐希がコートから去るのを確認して
祐希を迎えることにした。

「祐希…！」

石「へへ、ごめんねAちゃん。膝が言うこと聞かなくなっちゃった」

「…」

力なく笑う祐希に、
あたしは何も声をかけられなかった。

「ちょっと触るよ？」

石「…もうダメなのかな？」

熱を帯びた祐希の膝。
断裂か、水が溜まっているか…

あたしはすぐ分かった。

「うん…とりあえず今日は出るのやめよ」

石「うん…」

祐希の膝は悲鳴をあげている。

監督「どうだ、祐希」

「病院。行くべきですよ」

監督「そうか…」

「あたし、連れて行きます」

病院に行くことを祐希に告げることになった。

「祐希、病院行くよ」

石「試合が終わってからでもいいんだよね？」

「だめ。今から行くの」

石「やだ、」

「は、？」

石「みんなが頑張ってんのに…」

「祐希、あんたの膝は一刻を争うかもしれない。今ここで試合から離れるか、このままここに残って一生バレーから離れるか、どっちがいいの？」

石「…」

「病院、行くよ」

石「わかった…」

不満そうではあったけど
なんとか祐希は病院へ行くことを
承諾してくれたようだった。

石「着替えてくる」

そう言っていなくなった祐希。

柳「祐希はっ…！」

「断裂してるか…しかけてる。今から病院連れて行くから」

柳「無理しやがって…」

悔しそうな顔を浮かべるマサ。

「とりあえず連れて行くから！また連絡する！」

心配しているマサを残して、
あたしは祐希のところへ向かった。