続 ページ11
.
「(緑谷どうしたんだろう)」
そう考えて緑谷の横顔をちらりと盗み見ると、彼はやはり浮かない、そして焦ったような顔をしていた。
原因がわからないため何と声をかけたらいいか分からず、かと言って「なんでそんな顔してるの」なんて聞くのも無神経な気がして、どうしたもんかと頭を悩ませていると誰かに肩をポンと叩かれた。
叩いた人物を見るために顔を横に向けると、そこにいたのは少し心配そうな顔をした緑谷だった。
「ぼーっとしてるけど、大丈夫？」
「えっ、ああ、おう」
「そっか、よかった。あ、次ハンドボール投げだって」
なんてことだ。逆に心配されちまった。
こんなんじゃダメだ、と俺は頭を左右に振ってハンドボール投げの方へと向かった緑谷の後を追う。
ハンドボール投げは出席番号順で行うらしく、1番初めはあの立ち幅跳びがすごかったお腹ビーム男子だった。
そして順番は着々と進んでいき、いよいよ次は緑谷の番となった。
(ちなみに出席番号5番の麗日さん(？)はすごかった。ハンドボールを投げてから、なかなか機械が記録を示さないと思っていたらなんと無限なんていうあり得ない数値が出たんだから。)
俺はさっき様子がおかしかった緑谷が気になって、隣にいる緑谷の様子を伺った。緑谷の顔を見て、俺は眉をひそめる。
彼の状態はさらに悪化していた。
顔は真っ青で冷や汗をかいて、表情は以前にも増して硬く、そしてやはり焦りが浮かんでいる。
どうして緑谷がそんな顔をしているのかは俺には分からない。
「(分からない、けど)」
俺はぐっと拳を握ってから、緑谷の両肩に手を置いて前後にガクガクガクッ！と揺すった。
「わ、わっ！な、なに？！」
「肩に力…入りすぎだぜ、緑谷」
「黄泉路くん…？」
「お前にできることを、やればいい」
そう言って俺は緑谷に向かってニカッと笑った。(ヘルメットのせいで見えてないだろうけど。)
緑谷は初めはポカン、としていたが、すぐに笑って「うん！」と力強く返事をしてくれた。表情も少し明るくなって、順番が来た緑谷は球を持ってハンドボール投げの白線の枠の中に入って行った。
少しは彼の気を晴らせただろうか、と思いつつ、俺はハンドボール投げの枠の中に入った緑谷の背中を見つめる。
そんな時、自分の斜め前から不穏な言葉が聞こえてきた。
「緑谷くんはこのままだとマズイぞ…？」
「！」
声の方に顔を向けると、そこにはあの真面目そうなメガネの男子が立っていた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 983人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ミチルンルン(プロフ) - えぇちょー可愛いやんけ主人公もう更新なさらないのですか？ (2022年2月21日 19時) (
レス) @page31 id: 107ef6d634 (このIDを非表示/違反報告)
よひらもち - �△裡河辰泙覇匹濬�えました！障子君のこと、このお話を読んですごく好きになりました！続きの更新を楽しみにしています^ ^あと、イラストとても可愛くてカラーとかちょっと感動しちゃいました！ (2018年5月6日 1時) (レス) id: 39690ec0aa (このIDを非表示/違反報告)
☆のん☆(プロフ) - めちゃくちゃ面白くて睡眠時間削って読んじゃいました笑更新待ってます！頑張ってください！ (2017年11月19日 1時) (レス) id: a06af2fe7f (このIDを非表示/違反報告)
るんば(プロフ) - めっちゃ面白いです！夢主くんかわいいぃ〜♪更新がんばってください！応援してます☆ (2017年10月17日 19時) (レス) id: 2e90c8097f (このIDを非表示/違反報告)
名無し - すごく面白いですね！頑張ってくださいね！ (2017年8月21日 12時) (レス) id: 3e01ddb448 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：嘉藤和可菜 | 作成日時：2017年6月21日 19時
