いつもの朝 ページ1
「祐、保育園遅れる！」
朝ごはんをノロノロと食べている5歳の息子、祐也を急かす。
「Aちゃんも、おしごとおくれる！」
分かってんなら早くしてよ！
高校までは荒れに荒れていた私だけど、担任の説得と補習とすったもんだによって、大学に進学した。
そして、ノリで教員免許を取得し、高校の先生になった。
就職してすぐに、同僚の子持ちのバツ1の先生といい感じになり、23歳で結婚した。
つまり、祐也は私が産んだ子供ではない。
夫はとにかく真面目で良い人だったんだけど、1ヶ月前に病気でアッサリ逝ってしまい、祐也と二人でこうして地元に出戻ってきた。
ってことで、今の高校に移ってからはまだ一週間。
遅刻する訳にはいかない。
ようやくご飯を食べ終えた祐也を慌てて着替えさせ、自転車の後ろに乗せた。
「絶対外に手を出さないでよ。」
「はーい。」
祐也がハンドルを掴んだことを確認して、私は自転車をぶっ飛ばした。
「わー、ジェットコースターみたい！」
保育園につく頃には、髪はボサボサだ。
「お前、また自転車飛ばしたのかよ笑
ここに来るようになってから毎日だぞ。」
笑いながら出てきたのは、高校時代の同級生でよくツルんでいた、まっすーこと増田貴久だ。
今は保育園の先生になった。
「あのねー、ジェットコースターみたいなの！」
「もう車でも買えよ。」
「金無いし。ついでに免許も。」
「ついでに免許もってなんだよ。免許無きゃアウトだろ。」
「ってか、まっすーと話してる場合じゃ無かった！いってきます！」
「いってらっしゃい！」
祐也に手を振り、再び自転車にまたがる。
遅刻しまいと頑張る生徒達に紛れて、私も学校目指し必死に自転車を漕いだ。
職員室に入ると、まだ朝礼は始まって無かったらしく先生たちが歩き回っていた。
席に着こうとすると、後ろから髪で頭をポンと叩かれる。
「おーい、遅刻だぞ。学生時代からの遅刻魔が。」
叩いた犯人は、シゲこと加藤成亮。
私の高校時代の担任で、今は私が副担任をしているクラスの担任だ。
「ギリセーフじゃないですか。
朝礼まだなんでしょ？」
「今日の朝、職員会議あったんだ。」
うわー、忘れてた。
「うわー、忘れてたって顔してんな笑
しっかりしろよ、教師生活2年目が。」
隣にいる養護教諭の小山先生も笑っている。
「A先生も大変だね。
背中にシール貼ってあるよ？息子さんのイタズラ？」
「あー、またやりやがった！！」
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作者名：作者 | 作成日時：2018年12月10日 16時
