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ASide
「あれ？ここを支えればいいんだよね？」
慣れない手付きで、手越先生が私を床に降ろそうとしてくる。
自然と体が近くなって、手越先生の良い匂いがしてくる。
私の心臓は、もうバクバクだ。
「このまま下ろして大丈夫？」
「いや、やっぱり自分で降りれるので！」
よく考えてみたら、手越先生に体重がバレちゃうことになる。
しかも、動かない下半身は余計に重く感じる。
手越先生にだけはやって欲しく無かった。
「1人でやるっていっても、難しいでしょ？
ほら、体育の授業なんだから、大人しく従ってください。」
意外と強引な手越先生は、優しい手付きで私の体をヒョイと浮かせると、床に下ろした。
「よし、成功成功。
実は、最終日にシッティングバレーをやろうと思ってるんだ。
だから、その練習しておこうね。」
「シッティングバレー？」
なにそれ、初めて聞いた。
「名前のまんまなんだけど、座ってやるバレーなの。
ずっと見てるだけじゃ、Aちゃんだってつまらないでしょ？
俺も、体育って楽しいものなんだって思って欲しいし。
カリキュラム上の都合で、最終日にしかできないけど、それまで練習しておこ！」
「いや…バレーなんてしたことないし…」
特別支援学校にいたときだって、そんな本格的な競技なんてしてこなかった。
私のことを気にかけてくれたのはすごく嬉しいけど、私にできるハズがない。
「だから練習するんでしょ！
まずは基本中の基本から教えるから！」
笑ってボールを取りにいく後ろ姿に、ドキッとした。
「まずは、オーバーハンドパスね。
頭の上で手を三角にして…こう。」
手越先生は、私の前に座って簡単そうにボールをポンポンし始めた。
確かに、これならできそう。
…と思ったのも、ボールを手に取るまでだった。
いざやってみると、真上に上げること自体がかなり難しい。
変な方向に行ってしまい、手越先生にボールを拾いに行ってもらうたびに、申し訳なくなる。
それでも、手越先生は根気強く教えてくれた。
「そうそう。あ！今の良い！その調子で！」
上手くいったときに手越先生が喜んでくれるのが、この上なく嬉しい。
元気な子達に教えに行ったり、私に教えに来てくれたり、みんなに教えるだけでも大変なのに、手越先生は1時間ずっとそうしてくれていた。
おかげで、人生初の普通高校での体育は、とても楽しいものになった。
終わり←体育の授業
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りん - お話とっても面白いです！これからも更新楽しみにしています(*^^*) (2018年12月15日 18時) (
レス) id: c9b253e116 (このIDを非表示/違反報告)
てい - とても面白くてもっと読みたいです！！応援しています！ (2018年12月13日 15時) (レス) id: 70fd39881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2018年12月10日 21時
