入学式 ページ4
今日は、いよいよ入学式の日だ。
みんなが両親と一緒に登校する中、車椅子に乗っている上にタカにぃと二人の私は浮いていた。
ジロジロ見てくる視線や、コソコソと指を指される居心地の悪さを誤魔化すように、タカにぃが明るく話しかけてくる。
そのほとんどがスベっていても、今は嬉しい。
普通高校が目新しくてキョロキョロしていると、私達の他にもう一人浮いている人がいた。
「あ！シゲ！」
「え？加藤先生？どこ？」
「ほら、あそこ！」
私が手を振ると、シゲも気づいたみたいでこっちに近づいてきた。
「おはよ。入学式っていうから、見に来ちゃった。
他にもちょっと用事あったし。」
「おはよ。シゲがいるから、ビックリしちゃった。」
「カメラ持ってきたから、写真撮ってあげる。
貴久くんと一緒に、看板の所に並びな。」
「ありがとうございます。
こっちでも撮ってもらえますか？」
タカにぃがスマホを渡し、私達は看板の所に並んだ。
「はい、チーズ。撮れた。お、いい感じ。」
シゲが撮れた写真を見せてくれる。
入学式という看板の文字をみてると、嬉しくなってくる。
その後、シゲも一緒に入った写真を撮り、タカにぃとシゲと別れ、私は教室に行った。
エレベーターの位置も、もう教えてもらっている。
私が来たのは最後の方みたいで、教室には既に手越先生もいて、同じ中学校出身の子同士で固まって喋っていた。
特別支援学校は、クラスの人数がこんなに多くなかったから、圧倒される。
圧倒されるのには、みんなが私の方を見ているってのもあるけど。
さっきまでは、ジロジロ見られてもタカにぃと、シゲが居てくれたから気が紛れたけど、今は気を紛らわせてくれるものもない。
下を向いて、椅子の用意されていない、出入りしやすいように教室の端にある自分の机に行くと、上から明るい声が降ってきた。
「おはよ。
机の位置とか、そんな感じで大丈夫？」
たぶん手越先生は、居心地の悪い思いをしていることを察して、来てくれたんだろう。
さりげなく、みんなの視線を遮るようなところに立っている。
「おはようございます。
大丈夫です。ありがとうございます。」
そのさり気なさに、なんというかムズムズするような、上手く言い表せないけど嬉しい気持ちになった。
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りん - お話とっても面白いです！これからも更新楽しみにしています(*^^*) (2018年12月15日 18時) (
レス) id: c9b253e116 (このIDを非表示/違反報告)
てい - とても面白くてもっと読みたいです！！応援しています！ (2018年12月13日 15時) (レス) id: 70fd39881e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まる | 作成日時：2018年12月10日 21時
