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音楽室の前のひんやりした廊下を歩いていると、
箱をしまいかけている男の子がいた。
「待って!」
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息を切らしながらAはその男の子の前に立って、紙を渡した。
帽子を深くかぶっていて、よく顔が見えない。
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その男の子は紙を受け取り、四つに折られてるその紙を広げた。
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「『優希と同じく』って…。
ホンマにそれでいいんですか、A先輩?」
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……え?なんで私の名前を?
この紙には名前を書かなくてもいい。
Aは自分の名前を書いてない。
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「まぁ、ありがとうございます。
無効になりますけど。」
口角があがるその男の子。
「あなた、誰?」
その男の子は帽子をとった。
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キラキラしたオーラ。整った顔。
すべてが明かされた。
「これでもわかりませんか?」
驚いたAに近づいたその男の子はAの耳元で囁いた。
「その顔、反則ですよ。A先輩のこと好きになっちゃったー。」
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そして離れて、何箱もあるのをダンボールに入れ、再び帽子をかぶって歩き去っていった。
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「…大倉忠義…。」
Aは屋上まで走っていった。
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作者名：亜矢 | 作成日時：2012年8月27日 10時
