58輪目 ページ12
「お前も大変だよなぁ、ミケ。」
「お疲れ様です、亜麻野さん。」
「青峰くん、黒子くん…。」
2人の横に立ちながら勝負を見守る。
勝負はやはり灰崎くんが圧倒していた。
「あ〜らら。全然だめじゃん、黄瀬ちん。」
「いや、初心者にしちゃ出来過ぎな位だ。…単純に強いんだよ。ムカつくヤツだが、それと実力は別だからな。」
紫原くんの言葉に青峰くんが返事をする。
確かに、黄瀬くんは凄いけど、灰崎くんが一歩先を行っている。
結局、勝負は灰崎くんの圧勝だった。
「まぁ、流石に早すぎたな。」と青峰くんは頭をかく。
「お菓子買ってこよーっと。」
「まだ練習中ですよ、紫原くん。」
「うるさいなぁ。ひねり潰すよ。」
マイペースな紫原くんを引き止める黒子くん。バスケ以外のことには気が合う2人はどこか不思議な感じだなぁと感じる。
そうこうしていると、
「祥吾くーん、練習終わった？」
と可愛らしい声が響いた。見ると、少し派手な感じの女子生徒が立っている。
「あー、悪い。今終ったわ。」
「あっ、ちょ、汗だくじゃん！」
彼が近寄ろうとすると、嫌がる彼女。
「すぐシャワー浴びっから。ついでに一緒に入る？」
「やだ、もう！」「ははっ。」
交わされる不純な会話に、皆は呆れている。
すると、「あれって、最近できた黄瀬の彼女じゃ…。」という声がヒソヒソと響く。
「ん？あれ、涼太くん？」と覗く彼女。
「あー、アイツ、俺に勝負挑んできて負けたとこ。」
「マジ？うわー、なんかダサー。」
2人は這いつくばっている黄瀬くんを嘲笑していた。
ちらりと黄瀬くんを見ると、悔しそうに唇を噛み締めていた。
その姿を目にした時、私の口は勝手に動いていた。
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作者名：みぃ太郎 | 作成日時：2023年7月25日 21時
