【スプレーマムの花束を貴方に】 (ページ39)

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今日の夕食は、虹村さんと一緒に食べることになった。入浴後に偶然会ったので、そのまま同席させてもらうことにしたのだ。

彼がチャーハンを掬い口にするところをどきどきしながら見守る。

「うん。美味いよ、このチャーハン。お前にリクエストしてみて良かったわ。」
すると彼は微笑みながらそう話した。

「本当ですか？なら良かったです。」
尊敬している先輩に褒められたことが嬉しくて笑顔で返事をする。

「ほんっとに可愛いやつだな、お前は。」
「わあっ。ふふ、私キャプテンに撫でられるの、好きです。」
大きな手で頭をくしゃりと撫でられて嬉しくなった。

「ところで、悩み事とかは無いか？」
「う～ん、灰崎くんのことくらいですかね。」苦笑いで返事をする。

「灰崎なぁ…。やっぱり、アイツのことは苦手か？」
「性格は苦手ですけど、彼のバスケしてる姿は好きですよ。ゴールまで突っ走るキレのあるドリブルとか、見ていて凄くわくわくします。」

これは本音だ。彼は苦手だが、彼のバスケをしている姿は好きなのだ。

そう話すと、虹村さんは満足そうに笑った。
「そうか。多分アイツは亜麻野に甘えてんだろうな。」
「甘える？」
「あぁ。ふらふらしてる自分を引き止めてほしいんだ。」
懐かしそうに話す彼を不思議に感じた。

「もしかして、キャプテンにもそんな経験があったんですか？」
「…恥ずかしい話なんだが、昔は結構やさぐれていてな。だからかアイツを見てるとほっとけないんだよ。」
少しバツの悪そうに話す彼。

「きっと、キャプテンが居れば灰崎くんも変わってくれますよ。」

虹村さんのように面倒見の良い先輩が居れば、彼はいつかバスケに真剣に取り組んでくれるだろう。だって、あんなプレーをする人がバスケを嫌いなはずがないから。

「だといいけどな。まっ、だから亜麻野も遠慮なくアイツをしばいていいんだぜ。」
「ふふ。頑張ります。」

にかっと笑う虹村さんは眩しかった。