36輪目 ページ38
フライパンに油をひいたら、溶いた卵を入れてかき混ぜる。そうしたらご飯、具材、調味料を加えて炒める。味を調整したらチャーハンの完成だ。
ひたすらにこの作業を何度も繰り返す。
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思ったよりも早く完成した。2人の方は既に完成していた。今日は時間があるのでプリンとマンゴープリンを作ろうかな。好きな方を選んで食べてもらおう。2人には練習の業務に向かってもらい、作り始める。
「ふふ〜ん。」鼻歌を歌いながら卵と牛乳を混ぜていると、
「ご機嫌だねぇ、ミケちゃん。」
後ろから聞き慣れた声がした。嫌な予感がして手が止まる。
「…げ、灰崎くん。…練習は？」
「あんな面倒なことやってられっかよ。サボりだよ、サボり。だからミケちゃんにかまってもらおうと思って。」
相変わらずふざけた人間だ。何をしに合宿に来たのか。
「私、見ての通り今は忙しいの。」
「そんなつれないこと言わずにさぁ。」
「はぁ。いい加減にっ…っ！？」
一向に聞く耳を持たない彼に呆れていると、急にテーブルに上半身を押し倒される。衝撃で、卵液の入ったボウルが手から落ちて床に溢れた。
「あんまり俺を焦らさないほうがいいぜ？何するか分かんないからなぁ。」
にやりと笑いながら顔を寄せる彼に、怒りと呆れで震える。
すると、恐怖で震えていると勘違いした彼はますます笑みを深めた。
「震えちゃって、怖くなっちゃった？安心しろよ、痛くはしねぇから。」
耳元で囁かれる言葉にぷつりと堪忍袋の緒が切れる。怒鳴ろうとするが、彼の背後にいる姿を見て口を閉じた。
「ここにはうぜぇヤツもいねぇし、楽しもうぜ。」
「うぜぇヤツって？」
背後の人物の正体に気付かずに話し続ける彼。
「あ？決まってんだろ。虹村のヤツだよ。」
「ふ〜ん、そっか。…ふざけてんじゃねぇぞ、灰崎！！」
「っ！な、虹村…サン！？なんでここに…。」
驚きながら振り向く彼。
「お前が行くとこなんて、ほぼ亜麻野んとこだろ。分かりやすいんだよ。…ってことで。」
「ぐぇっ。」
「楽しい楽しい練習に戻ろうなぁ、灰崎。」
「は、はい…。」
彼を笑顔で締めながら引きずる虹村さん。さすがです。
「邪魔したな、亜麻野。」
「いえ、毎度ありがとうございます。」
「気にすんな。あ、チャーハン、楽しみにしてるぜ。」
「はいっ！」私は笑顔で返事をする。
ずるずると灰崎くんを引きながら去っていく虹村さんを見送って、作業に戻った。
…灰崎くん対策に、防犯ブザーでも買おうかな。
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作者名：みぃ太郎 | 作成日時：2023年6月22日 13時
