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1輪目 ページ3
真っ白なブレザーに腕を通し、鏡の前でくるりと回ってみる。
身長が伸びることを期待して買ったそれは少し大きい。着せられている感じが否めないなと苦笑していると、
「ミケ〜?真太郎くん、もう来てるわよ。」
と下から間延びした母の声が聞こえる。
これはまずいと慌てて部屋を後にし、鞄を手に階段を駆け下りた。そのまま「いってきます。」と玄関のドアに手を掛ける。
「いってらっしゃい。気を付けるのよ。」という母の声を背にして家を出ると、見慣れた姿が見えた。
「おはよう、真ちゃん。」と声をかけると、
「遅いのだよ。」と少し不機嫌そうに彼は振り向く。
謝ると、彼は呆れたように息を吐き、さっさと歩いていってしまう。
置いていかれないように慌てて彼に着いていくと、桜の花びらがひらりと目の前を横切った。
春とは思えないほど澄んだ青い空の日、私達は帝光中学校に入学した。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時