16輪目 ページ18
部活は無事に終わり、ボールを片付けていると、
「よう、亜麻野。」という声と共に、ぽすっと頭に手が乗せられた。
「キャプテン！お疲れ様です。」
「おう、お疲れ。」
振り向くと、我らがバスケ部キャプテンの虹村さんが立っていた。1軍の練習の業務をし始めてからお世話になっている先輩の一人だ。
「赤司から聞いた。今日は災難だったな。」
「あはは。けど、久しぶりの部活で嬉しかったのでそうでもないですよ。」彼の言葉に笑顔で答える。
「ったく、ほんとに健気なやつだな、お前は。」
「わあっ。」
わしゃわしゃと大きな手で頭をかき混ぜられる。
「まぁ、なんかあったらいつでも言えよ。お前も桃井も大事なマネージャーなんだからな。」
「はい！」
眩しい笑顔で声をかけてくれる先輩に大きな声で返事をした。
：
：
今日はテスト明けなので居残り練習は禁止だ。なので真ちゃんと帰路に着く。
「やっと中間試験も終わったね。」
「あぁ。…本当に大丈夫か？」
少し心配そうな表情でこちらを見る彼。
「うん。皆が楽しそうにバスケしてるのを見てたら嫌な気持ちなんて吹っ飛んじゃったよ。」私は笑ってそう話した。
「そうか。」
「そうそう。コンポタも美味しかったしね。」
「なっ、次は負けないのだよ。おしるこを奢らせてやる。」
彼は眼鏡のブリッジを押し上げながら話す。ほんとに負けず嫌いなんだから。
「私はいちごオレがいいかなぁ。…ねぇ、真ちゃん。手、繋いでいい？」
「…ほら。」
彼は少し呆れたように手を差し出してくれる。
「ありがとう。」
差し出された手を取ると、あたたかくてほっとする。
実のところ、まだ少し怖かったのだ。
けど、真ちゃんはお見通しなんだろう。繋がれた手に少し力が込められる。
気づいても話さない優しさが嬉しくて、なんだか胸がきゅっと疼いた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 11人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みぃ太郎 | 作成日時：2023年6月22日 13時
