9輪目 ページ11
1軍の使用している体育館に着くと、ちらほらと数人の部員が居残り練習をしていた。その中には見知った顔も見えて、
「さつき、来てたんか。それに亜麻野も。」
さつきちゃんの幼馴染みである青峰くんが此方に駆け寄ってきた。
「うん。私も付き合うよ。ドリンクでも作ろうか?」
「げっ、それは遠慮しとくわ…。ならスコアつけてくれよ、3on3したいんだ。」
彼女の提案に青い顔をして断る彼。
「分かった。じゃ、また後でねミケちゃん。」
「うん。」
2人と別れ、私達はゴール近くに移動する。私の役割は真ちゃんが打つ3Pシュートの成功率を記録することだ。
「ナイッシューだね、真ちゃん!」
「当然なのだよ。」
ボールが美しい放物線を描いてリングを通る。その光景が大好きなんだよなぁと思いながら記録していく。
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いつの間にか時計は7時を回っていた。
「そろそろ切り上げるのだよ、ミケ。」
「分かった。私、片付けとくから真ちゃんは着替えてきて。」
「あぁ、頼む。」
着替えに向かった彼を横目に、ボールを片付けたり、モップをかけていく。大体終わったなと考えていると、
「よお、亜麻野。」という声と共に肩に手を回される。
「青峰くん。」彼はもう制服に着替え終わっていた。
「お前ちっこいのによく働くな。」にかっと笑いながら話す彼。
「小さいは余計だけど、ありがとう。」
まだまだ成長期だし…と思っていると、
「もう、大ちゃん!ミケちゃんに失礼でしょ。」さつきちゃんが叱ってくれていた。
「うるせーな、お前は俺のかーちゃんかよ。」
「大ちゃんのお母さんになったつもりはないわよっ!」
「へーへー。」
目の前で漫才のようなやり取りが交わされる。
「2人はすっごく仲良しなんだね。」微笑ましいなと思いながらそう話す。
「まぁ幼馴染みだしな。それより、一緒に帰らねぇか?」
「うん。一緒に帰ろうよ、ミケちゃん!」思わぬお誘いに、
「ぜひぜひ。」とウキウキしながら答える。
「じゃあ早く帰ろーぜ。」「あっ、ちょっと待っ…。」
「すまない。待たせたな、ミケ。」
私の言葉を遮って真ちゃんが現れる。
「大丈夫だよ、真ちゃん。あ、こちら幼馴染みの真ちゃんです。彼も一緒でいいかな?」
「もちろん。」
「あぁ。」
「真ちゃん、今日は皆で帰ろうよ!」
「急だな。」彼は少し呆れていたが、最終的には了承してくれた。
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作者名:みぃ太郎 | 作成日時:2023年6月22日 13時