いやいや、ただのバレー馬鹿。【影山飛雄】 (ページ9)

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5限が終わり、私は誰よりも早く立ち上がった。

『影山くん、様子見に行こう。』

「別に日向ならあれくらい大丈夫だろ。」

『大丈夫だったとしても、一緒に確認しに行こうよ！』

立ち上がらない影山くんと長い沈黙が続く。

考えればこんなに正面からまじまじと彼を見るのは初めてかもしれない。

朝練を見る限り仲は悪くはない

…とは思うけど、仲良しかって聞かれると言葉に詰まってしまう。

声をかけたのは余計なおせっかいだっただろうか。

「…自販機行くついでだ。」

『うん！！』

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『失礼しまーす。』

少し立て付けの悪い保健室の扉を動かす。

私達の探していた人物は、予想通り椅子に座っていた。

『日向くん！』

「あ！柿谷さん！！さっきはごめ…イッテ…！！」

「お前何間抜けなことしてんだ。
そんな調子でインハイ出れねーなんてことなるんじゃねーぞ。」

先程強打したであろう頭部をまるでバレーボールみたいに鷲掴みに…

『こ、こら、病人には優しく！』

本気を出されれば私じゃ到底敵わないものの、
影山くんは間に入った私に促さられるまま手を下ろしてくれた。

『そうだ、さっきぶつけたところ大丈夫だった？』

椅子に座る彼と目が合う様にしゃがみ込み、ふわふわの髪の毛や頭部を確認する。

…軽く赤くなっているぐらい、かな。

「あぁ全然大丈夫！

俺顔面レシーブとか慣れてるし、あれくらい平気！！」

変わらない笑顔を向けてくれる彼に安心してか、少しのため息が漏れた。

『なら良かった。授業中にちょっかいかけてごめんね。

じゃあゆっくり休んで。あとこれ』

お詫びなのか、差し入れなのかは曖昧だけど、私は彼の手にパックのジュースと個包装の飴を一粒渡した。

ジュースは来る時に影山くんとついでに買ったものだ。

「くれんの！ありがと！

…ってそうだ、朝の続きなんだけど！」

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