いやいや、ただのバレー馬鹿。【影山飛雄】 (ページ8)

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06. ページ8

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「で、次は138ページの図4に…」

うちのクラスは午前中に体育があったせいか、5限目は半数が寝ているかうたた寝状態だった。

この先生は比較的寝ていても怒らないし、なによりその声はより眠気を誘うような人だった。

餌食になっていくクラスメイト。

暇すぎて机を跨いで何やら楽しそうに会話している人達。

私も暇すぎて、ペン回しの練習をしていた。

ふと窓に視線をやると、外では他のクラスが運動場で体育をしていた。

頬杖をついて、ぼんやりと眺める。

疲れてる人、めんどくさそうな人、余裕そうな人。

…そして、オレンジの人。

日向くんって分かりやすいなあ。

てことは一組かな。

列を組んでいてもとりわけ動きが元気で自然と笑みが溢れた。

気づいてくれないかなー、なんて。

日向くんのクラスメイトがどこかを指差し、彼の肩を叩いた。

オレンジの髪から、あの笑顔いっぱいの顔がのぞく。

大きく手をふってる…？

まさかな、と思い左右を見渡す。

もう一度確認すると、首を振って、指を刺した。

私はそうっと自分を指さした。

うんうん、と大きく頷いている。

どうやら、私の視線に気づいてくれたみたいだった。

私も手を振り返した。

そうだ。

『影山くん、ちょっと起きて。』

後ろに椅子を引いて、ぐっすり眠っている彼の肩を叩く。

機嫌を損ねたらどうしようとかは、叩いてから気づいてしまった。

ゆっくりと上半身を起こし、いつも通り目つきの悪い影山くん。

私は構わず窓の外を指差した。

日向くんはあからさまにげっ、とした顔をしている。

影山くんもその反応にムカついたのか眉間に皺が寄っていた。

「アイツ、よそ見してるとボール当たるぞ。」

彼が小さく呟いた言葉に耳を傾けていると

案の定、ボールが顔にクリーンヒットしていた。

『あちゃー、痛そう…』

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