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初めまして、だって。
俺は彼女と委員会で会ったことがある。
忘れる…いや、眼中に無いのも無理はない。
委員会は一度だけ、会話もただの挨拶、その一度きり。
その日の委員会の話は満場一致で円滑に終わった。
委員長になりたそうな人に話題をパスして、俺を含めた全員の意見に耳を傾けている人物がいた。
他の奴らは委員長になった隣のクラスの奴を褒めてた。
あの人のおかげだ、簡単だったねと。
誰も彼女を褒める言葉は無かった。
議題を簡単にしたのも、他のすべて柿谷さんがしてただろ。
なんて些細でどうでもいいことに気がついた。
でもそれだけの印象。会うことだってしばらくないだろうし。
____
「柿谷さんって、あんなに泣くんだ。」
「あぁ、確か影山と同じクラスの。今日も来てたね。」
そんな印象だったから、とんだ拍子抜けだった。
もっと大人っぽいとか、真面目で静かだとか。
必死に声を張り上げて応援して、最後の方なんか声が掠れてた。
そして今、
体育館の扉の影に隠れている彼女の目は昨日のせいで
馬鹿みたいに腫れて上がっていた。
のび太くんかよ。
所詮内面と外見なんてバラバラで当然なんだけど。
それでも新しい表情を見て驚く自分がいた。
何度見ても、面白いその腫れ上がった顔。
触れられた手はなんて鬱陶しい熱を帯びているんだろう。
____こんな、どうでもいい変化に気づくんじゃなかった。
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続く お気に入り登録で更新チェックしよう!
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いもり - すごい面白いです...!今すごーく良い感じの距離感なのでこれからどう縮まるのか気になります...!(*´д`*)ドキドキ更新頑張ってください! (4月1日 17時) (レス) @page22 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ととととトマト | 作成日時:2024年3月29日 2時