いやいや、ただのバレー馬鹿。【影山飛雄】 (ページ18)

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バシン、バシン＿とバレーボールの叩きつける音。

一点、また一点。

ブザーの音。歓声。

一点取れては喜んで、相手に入れば焦りが加速して。

二人の応援に来た筈が、いつの間にか烏野そのものを応援していた。

こんなに凄い人達が居るなんて。

今のボールどうして上がるの。ジャンプ息ぴったり。

昨日までは静かに観戦できていたのに、夢中になって声を出して。

何度もデュースが続く。

早く終わって、終わらないで。

そんな矛盾した考えが頭をよぎって。

まだ。

まだ、彼等を見ていたい。

＿＿＿＿終了のブザーが鳴る。

＿＿＿＿＿＿烏野は青葉城西に負けた。

私たちに挨拶をする彼らに拍手を送った。

コチラはお通夜のような雰囲気だ。

死人なんてどこにも居るはずないが、それほど彼らが真剣で夢中で合ったと証明していた。

対してネットの先は、今夜で最後の宴のように賑やかだった。

日向くんと影山くんと目が合わせられない。

ううん、今だけはその方が良かった。

「良かったら、ハンカチ」

「あぁ、俺、ティッシュなら待ってるぜ。使いな。」

『ず、ずびまぜん…グズッ』

隠れる様にしゃがみ込む私に、親切な男性二人が私の背中をささってくれた。

「全国でもなけりゃ、ただの予選。たかが一つの試合にすぎないさ」

分かってる。そうかもしれない。

借りたハンカチに水滴が染み込む。

『でも…っ』

「けど、俺たちに、

アイツらにとってこの試合はされど一試合。スゴイ試合だったな。」

ニコリと優しい笑顔を向けられた。

その言葉を聞いて私はまたハンカチを濡らしてしまった。

そうだよ。

今日来た人達がいつかこの試合を忘れたとしても。

彼らは＿＿＿ううん、

私もきっと一生忘れないだろう

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