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毎日風呂上がりにする筋トレを3セット終え、自分の部屋で伸びをする。
いよいよ待ちに待ったインターハイ予選当日。
念の為にアラームを一つ多めに設定しようとベッドに座り、携帯の画面を開いた。
《新着メッセージ 一件 二分前》
メッセージ画面を開けていき、送った人物は柿谷だと確認する。
この前の課題を教えてもらったからというもの、出さねぇとヤバそうな宿題を度々教えてもらっていた。
必要最低限の業務連絡のような会話。主にプリントの写メばかり。
俺の返信は感謝だけを伝える至って簡素なものだった。
ありがたい、と思うがアイツは多分、誰に対しても"こう"なのだろうと最近気づいた。
いつも誰かしらに囲まれているのを見る限りその人となりが分かる。
友情やら親友などの明確な存在が居ない俺でさえ、こうして連絡を取り合えるのだから。
明日に備えてもう寝たいのに、と目を細めてしまうが、補習に呼び出されてバレーができない方が嫌だ。
画面をタップし、柿谷との連絡画面を開く。
それはいつもの写メでもなく、
課題の提出時期を書いたメッセージでもなかった。
ただ一言。
『明日、楽しみにしてるね。』
頑張れ、
応援してるよ、
そんなありきたりなセリフでもなく。
肩透かしをくらった気分だった。
あぁ、そうか。
俺は今、初めて柿谷Aという人物の輪郭を掴めたのか。
口元が少し綻ぶ。
《新着メッセージ 一件 たった今》
《おう。》
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いもり - すごい面白いです...!今すごーく良い感じの距離感なのでこれからどう縮まるのか気になります...!(*´д`*)ドキドキ更新頑張ってください! (4月1日 17時) (レス) @page22 id: 20a9a81cbb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ととととトマト | 作成日時:2024年3月29日 2時