鎖が38本 ページ38
「太宰さん、らしくもないですね。
そんな風に悩んで……、泣きそうな顔をして。
何時もみたいに強引に、欲しいものは手に入れるのが太宰さん何じゃないんですか」
太宰さんはとうとう涙を零して俯いた。
「ねえ、私も気付いていたんですよ。
最初から、貴方に初めて会った時から、貴方が私の主人だと。
だから中也さまの言葉では異能本来の力が発揮されなかった。
でも見てください。今、私は貴方の、太宰さんの命令で此処までやってのけた。
私の主人は元々太宰さん一人。
お互い、気付いていたんですよ。気付かない振りをして、逃げて、誤魔化して。
私、貴方のモノになりますよ。元から貴方のモノでしたから。
才能なんて、如何だっていい。貴方の為を苦しめる才能ならなくたっていいんです。
私に必要なのは、貴方の側にいる為の才能です」
此れが私の本心だと感じた。
太宰さんと同じ、ずっと隠していた思い。
重い体をゆっくりと起こし、
涙で一杯の縋るような目を向ける太宰さんを抱きしめた。
「……いいのかい? 其れで君の未来が……」
「いいのですよ。
私、運命なんて言葉を信じたりしないんですけど、でも此れは……運命、という言葉が一番正確であるような気がします」
「うん……」
太宰さんの背を撫で、私の涙が太宰さんの肩に染みを作っていくの黙ってをみていた。
「やっぱり太宰君はそれを選んだか……。
太宰君もまだまだ青いねえ」
首領が盗み聞きしている事など知らずに。
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れい - 続き、楽しみにしています(*´∇`*)/ (2017年8月3日 12時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - れいさん» ありがとうございます! (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 読み方はボスですよ。 (2017年8月3日 11時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - ありがとうございます。読み方はしゅりょう、ですか?ぼすですか? (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 黒の時代での森さんへの呼び方は首領、探偵社入社後は森さんですよ。 (2017年8月3日 10時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年8月1日 12時