鎖が31本 ページ31
「相手に自分を認知させない異能か……面倒だな」
「太宰さんの人間失格でも触れる迄は認知出来ませんからね……」
太宰さんの執務室で私と中也さまは資料を片手に唸っていた。
今回の任務は或る組織の殲滅。武力もあり、ボスが異能力者だという面倒な組織だ。
ぼす……首領も敵に回したくはなかったらしいが、流石にこれは見逃せない、と思う程デカい顔をし始めたので仕方なく、お二人を任務に回したとの事。
中也さまいわく、「此奴と組まされるなんて最悪だぜ」。同感です。
「まあだからこそ私たちなのだしね。
そっちの資料に作戦が書いてあるから読んでおいて。
あ、Aちゃんは私と行動してもらうから」
太宰さんは語尾にハアトが付きそうな程甘い声でそう云った。
途端に中也さまが机を叩く。
「巫山戯んな手前!」
「巫山戯てなんかいないよ。
五枚目の資料に書いてあると思うけれど、相手は司令塔から潰す傾向にある。だから中也には私を守るようAちゃんに指示してもらって、その上で別行動をとるんだよ」
「……ちっ。わぁったよ。」
中也さまは五枚目の資料を確認すると嫉しげに紙を捨てた。
本当だったのだろう。なにせ太宰さんの作戦立案が間違ったことは一度もない。
「おいA、奴を守るだけじゃ退屈だろうからな、命令だ。奴を銃撃戦の中に突っ込ませんな。いいな」
「ええー! 酷いよ中也! その為に態々此処に部隊を配置したのに!」
「はっ、残念だったな。手前の考えなんかお見通しなんだよ」
「えー、蛞蝓の癖に……」
「ンだとこの青鯖野郎! 兎に角A、奴を絶対に銃撃戦の中にいれんな! 絶対だぞ!」
ええー、無理ですけど……。
とは云えないので、黙って頷いておいた。命令だし、いざとなれば異能で止められるが、太宰さんがその気なら人間失格で簡単に防がれてしまう。
任務より、其方が心配になってしまった。
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れい - 続き、楽しみにしています(*´∇`*)/ (2017年8月3日 12時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - れいさん» ありがとうございます! (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 読み方はボスですよ。 (2017年8月3日 11時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - ありがとうございます。読み方はしゅりょう、ですか?ぼすですか? (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 黒の時代での森さんへの呼び方は首領、探偵社入社後は森さんですよ。 (2017年8月3日 10時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年8月1日 12時