鎖が二十本 ページ20
「さてAちゃん、此処は何処だと思う？」
「資料保管室です」
「うん、正解」
にっこりと笑って見せるがAの顔は固い儘だ。拷問、と云う言葉に圧倒されている処もあるのだろう。
「じゃあ私は何故此処に来たと思う？」
「……相手の情報を集める為？」
「そうだね。相手の情報を知る事は如何して必要なのかな？」
「……相手の弱味を付いて効率よく拷問をする為？」
「うん。これは拷問の基本中の基本だね。だけど此れを忘れる人間は多い。ただ痛みを与える事だけに集中して、拷問の目的を忘れてしまうんだ。
Aちゃんも忘れないようにね」
「はい」
もしAにも私たちと同じ才能があるならば、その才能を開花させる為の知識を与えなければならない。
この子は馬鹿ではない。少なくとも直ぐにポートマフィアに馴染むくらいには。だから、力で教え込んでも意味がない。言葉で、一つ一つ、丁寧に、じっくりと。
「まず相手の表面的な情報だけど、元々個人の情報屋だったみたいだね。其処を月宮家に雇われ……間者としてポートマフィアに潜り込んだ」
そう云ったとき、Aの眉がぴくりと動いた。
「Aちゃん如何かしたかい？」
「あの……間者が捕まったのは何時でしょう？」
「うん？ 一昨日だよ」
「……そう、ですか……」
顎に手を当て、Aは眉をひそめる。
良いところに引っかかるねえ。
「何か気付いた事があったのかい？」
「いえ……。あの、月宮家の殲滅は、何時くらいから計画されていたのでしょうか」
「うーん、一年前くらいから話はあったのだけれどね。うちのシマを荒らしたっていう証拠が中々掴めなくて。でも一ヶ月前に証拠が掴めて、殲滅は確定事項になったんだよ」
「……」
Aは暫く云おうか云うまいか迷う素振りを見せたあと、決意をしたらしく私の目を真っ直ぐ見た。
光の灯った目だ。
「間者はただの雇われ情報屋だったんですよね？ 其れなのに……いずれポートマフィアが殲滅すると分かっている組織に付いて、其処までするでしょうか？
私なら上手くバックレるか、ポートマフィアに恩を売るか、兎に角何か行動を起こすと思います」
ああ、流石。
見込んだ通りの回答だ。
「その通りだね。一応聞くけどAちゃんはポートマフィアが攻めてくると云う情報を聞いていた？」
「いえ、そんな情報があるならきっと私はお父さま……月宮家当主の元に付きっ切りだったと思います」
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れい - 続き、楽しみにしています(*´∇｀*)/ (2017年8月3日 12時) (
レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - れいさん» ありがとうございます！ (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 読み方はボスですよ。 (2017年8月3日 11時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - ありがとうございます。読み方はしゅりょう、ですか？ぼすですか？ (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 黒の時代での森さんへの呼び方は首領、探偵社入社後は森さんですよ。 (2017年8月3日 10時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：徒長 | 作成日時：2017年8月1日 12時
