鎖が15本 ページ15
なんかいた。なんかいた。な、ん、か、い、
た。
重要な事だから二回……いや三回思ってしまった。
今のは何だ? 幻か? 幻聴か? もし現実なら太宰サンがいたような……。
嫌な予感がしたが、もう一度扉を開けた。
「あっ、Aちゃん急に閉めるなんて酷いよう。私Aちゃんをずっと待っていたのだよ?」
ストーカーか。どうしてこの人はこんなに私に付き纏うんだ。
私は太宰サンを避けて部屋の中に入った。
「無視かい? 酷いなあ、」
「あの、何でそんなに私に構うんですか?」
続いて中に入って来ようとする太宰サンを静止し、厳しい表情で聞いた。
こればかりは誤魔化されては困る。ほんの数日前からとはいえ、この人には迷惑を既に結構かけられているのだから。
「……何でだと思う?」
「は?」
「だ、か、ら、何でだと思う? 何で最年少幹部で容姿も頭もいい私が、君みたいな其処まで美人な訳でも可愛い訳でもなく異能力が其処まで魅力的な訳でもない子に構っているのだと思う?」
自分で云うか、それ。
そう思って太宰サンを見ると、太宰サンは驚いた事に口元に笑みを留めているものの目は完全に凍っている。
この人、真剣だ。
「……わかりません。わからないから、聞いています」
だから素直に降参した。この人の考えている事はわからない。
「うふふ、そっか。じゃあ一つヒント。どうして君は私がお世辞でヨイショする人が嫌いだとわかったの?」
「え? ……何となく、でしょうか」
「そうだろうねえ」
太宰サンは意味ありげな笑みを浮かべ、凍った瞳で私を見つめる。
「……ま、いいや。今日はもう帰るね。また明日」
「えっ、はい」
それだけ云って太宰サンは帰ってしまわれた。
自分が入って来たくせに、何なのだろう。
その日、私は太宰サンのヒントの意味をずっと考えていた。
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れい - 続き、楽しみにしています(*´∇`*)/ (2017年8月3日 12時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - れいさん» ありがとうございます! (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 読み方はボスですよ。 (2017年8月3日 11時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
徒長(プロフ) - ありがとうございます。読み方はしゅりょう、ですか?ぼすですか? (2017年8月3日 11時) (レス) id: f4aa93743b (このIDを非表示/違反報告)
れい - 黒の時代での森さんへの呼び方は首領、探偵社入社後は森さんですよ。 (2017年8月3日 10時) (レス) id: ea54add459 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:徒長 | 作成日時:2017年8月1日 12時