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「A。」

玲さんの声が降ってくる。

返事ができない。声を出したら涙が零れそうだ。



「帰ろう。」

玲さんが私の手を優しく握る。男らしいけど、指が長くて華奢な私が好きな玲さんの手。



やだ。そんなことしないでよ。私、玲さんのこと好きなんだよ?今私のこと振ったんだよね?

それなのに手なんか触らないで。思わせぶりだよそんなの。ひどいよ。

もっと好きになっちゃうじゃん。



でもその手を振り払うことは出来なくて。



だって好きなんだもん。

玲さんのこと、大好きなんだもん。





私は手を繋いで前を歩く玲さんの髪を見る。夕日に照らされて黒髪が少し茶色に光る。



「そろそろAに話さなきゃいけないことがあるんだ。」

いつも通りの口調。声質。仕事モードの玲さん。



無かったことにしたいのか。

私が告白したことをまるっきり無かったことにして、これからも仕事をしたいのか。

私の気持ちなんてお構いなしか。



私の目から一粒の涙が零れる。

怒りと悲しみで感情がぐちゃぐちゃだ。それを必死に抑える。



玲さんがそうしたいなら分かったよ。無かったことにするよ。

振られても、それでも好きだから。

私も今までみたいに玲さんと一緒に仕事したいもん。



唇を噛んで涙をこらえる。私も仕事モードに切り替える。



「俺は今、重大な任務を抱えているんだ。」

話を続ける玲さん。そんなこと知らなかった。普段見る以上に玲さんは別で仕事しているのか?

「俺の力次第で日本が変わるだろう。」

『…任務の内容は?』

声が震えるのを必死に隠す。

「…」

『玲さん?』

「本当は誰にも言うなと上から止められているんだ。」

『それほどの極秘任務を1人で…』

今まで、誰にも言わずに。誰にもバレずに。玲さんたった1人で。

「でも、そろそろ1人じゃ厳しい。人手が必要になってきたんだ。」

『私にも手伝わせてもらえるということですか。』

「ああ…内容は明日話そう。零にもこの話は聞いて欲しいからな。」

『…分かりました。』



力にならせて欲しい。

私を仲間として受け入れてくれた玲さんと仕事をさせて欲しい。

これからも、玲さんの隣で。





その後は、2人で他愛無い話をして駅で解散した。

私が玲さんに告白したことにはお互い全く触れないで、いつも通りに会話をした。



私は家に着いてから、1人で静かに泣いた。

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- 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!ゆるりと更新していくので読んでやってください! (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
- 1ページの文字数が少なくて読みやすいです! 更新頑張って下さい! (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:微睡 | 作成日時:2023年7月31日 18時

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