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カフェを出て駅までの川沿いの道を歩く。

私は玲さんの斜め後ろについて行く。

心臓がどくどくとうるさい。



玲さんのことが好きだ。公安に所属になってから、玲さんに会った瞬間から好きだ。

気付いたら目で追っていた。真剣に仕事に取り組む姿も、後輩に指導をしている姿も。

彼の真っ直ぐな瞳が好きだ。

今まではっきりと玲さんに思いを伝えたことは無かった。

こんなにイケメンで頼りになるのに、仕事上彼女も奥さんもいないそうだ。

じゃあ同じ仕事ならいいんじゃない?





『…玲さん。』

少し前を歩く玲さんの背中に声を掛ける。

辺りは人がおらず、夕日が川に反射している。河原でキャッチボールをする子供達の声が大きく聞こえる。

「ん?なんだA。」

私の方を振り返る玲さん。いつもと変わらない笑み。優しい瞳。落ち着いた声。

でも、そのどれもがいつも以上に私の心臓をきゅう、と痛ませる。



私が立ち止まったのに合わせて玲さんも立ち止まる。

口から出てきそうな心臓を飲み込んで声を出す。





『…好きです。』





玲さんの服の裾をくい、と掴む。



『玲さんに会った時から、ずっと好きです。』



手が小さく震える。





『…付き合ってください。』










「…A。」

玲さんが私を真っ直ぐ見る。

何を考えているのか分からない。はっきりと玲さんの顔は見ているのに、その瞳は深い闇を宿す。

玲さんの目に捉えられて体が動かない。



『…はい。』

この感じは振られるんだろうな。そりゃそうか、だって私後輩だし。せめて玲さんと並べるくらいになってから言えば良かったのかな。

直ぐに後悔ばかりだ。

耐えられなくなって私は目を伏せる。



玲さんが私の頬に手を添える。

『っ…!』

ぶわあ、と触れられた頬から熱が広がる。

玲さんは決して私の顔を上げたりせず、そのまま話し始める。





「俺もAのこと好きだよ。」





どくん、と大きく心臓が鳴る。



本当に?





「でも俺はAのこと、仲間として好きだから。」





仲間。



「付き合うことはできない。ごめんな。」



悲しいような、安心するような。

玲さんらしい返答。



『…はい。』



私は玲さんの顔を見ることができない。

玲さんが私のこと恋愛的に好きになる訳無い。そんなこと最初から分かりきったことでしょ。

恥ずかしくて、こんな自分が馬鹿らしくて。

じわ、と目頭が熱くなる。



私は話すことも、再び歩くこともできなかった。

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- 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!ゆるりと更新していくので読んでやってください! (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
- 1ページの文字数が少なくて読みやすいです! 更新頑張って下さい! (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:微睡 | 作成日時:2023年7月31日 18時

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