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玲さんは翌日、松葉杖をつきながら公安部署の扉を開けた。



「玲さん!!!」

皆が玲さんに駆け寄る。

玲さんを心配する声、怪我が重症じゃないことに安心する声、涙ぐむ声…



私はその光景を自分の席から眺める。

玲さんに会えた喜び以上に、玲さんに私が怪我をさせてしまった罪悪感が強まる。

玲さんの所へ行く勇気がなかった。



玲さんと目が合う。

「A、おいで。」

玲さんに手招きされる。

私はゆるりと動き出す。





俯きながら玲さんについて行き、廊下に出る。

いつものことながら公安の前の廊下は人が通らず静かだ。

その静けさは普段なら私の気を引き締めてくれるのに、今日は息苦しく感じる。



「…今日はだんまりなのか?」

玲さんが眉を下げて私に問う。心臓がきゅう、と苦しくなるのを感じる。

『…すみません。私のせいで…玲さんに怪我をさせてしまった。』

私は俯いたまま小さな声で言う。

玲さんはふぅ、と息をつく。



「A、こっちを見て。」

私はゆっくりと顔を上げる。

「言い切ろう。これはAのせいじゃない。」

いつにも増して真剣で芯のある玲さんの声。

玲さんの大きくて温かい手が頭に乗る。



「相手の策略に気が付けなかった俺のミスだ。」

くしゃり、と頭が撫でられる。

「Aは俺が撃たれた後、誰よりも早く駆けつけてくれただろ?むしろ感謝してるよ。ありがとう。」

玲さんが少し屈んで私の顔を覗き込む。



「断じてお前の責任じゃない。分かったな?」

『…はい。』

ふわりと玲さんが笑う。

私の名前を呼ぶ声も。私の頭を撫でるその大きな手も。私を見つめるその瞳も。その笑顔も。

私の胸は次第に高鳴っていく。



あぁ、やっぱり私玲さんのこと好きだなぁ…





「昨日、俺が病院で目覚めたとき、零から連絡が入っていたんだ。」

『零から?』

ふと思い出したかのように話し始める玲さん。

「Aだけでなく、僕も裏があるのではないかと気づいていました。今回の件は僕の責任です、ってな。」

はは、とさっきより大きな声で笑う。

そして私に向けられる優しい瞳。



「2人してそっくりだよなー本当に!俺は大丈夫だから、Aは今日も仕事に集中しろよ!」

パシ、と私の背中が叩かれる。



『…っはい!』

私は気持ちを切り替えて部屋に戻る。





今日も頑張ろう。

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- 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!ゆるりと更新していくので読んでやってください! (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
- 1ページの文字数が少なくて読みやすいです! 更新頑張って下さい! (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:微睡 | 作成日時:2023年7月31日 18時

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