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「ここだ。」



玲さんは周りを確認しながら車を止める。人の気配はなく閑散とした場所だ。

「そこの建物の中だ。」

直ぐ近くにある3階建ての空きビルを指す。確かにそこは怪しい雰囲気が漂っている。

『中、入ります。』

私は車を降り、息を潜めて建物に入る。拳銃を構える。

夢の中で零を撃った人間の顔を思い出す。夢だけれど、信じないわけにはいかなかった。



階段を上り、2階へと上がる。





こつ、こつ、





そこで聞こえる足音。私のものではない。誰かがいる。

零か?それとも…



柱に素早く身を隠しながら音のした方を確認する。








「ふふ、動きが遅いね。」








足音とは逆の方から聞こえる声。まずい、気配がしなかった…





声がした方を振り返る余裕もなく、私は固いもので頭を殴られる。

『っうあっ!!』





意識が途絶える。










「…A!おい、A!!」

『う…れい…?』

聞き覚えのあるその声に応答する。



ん?体が動かない。

目を開ける。自分がいるのが空きビルのどこかであることが分かる。柱に腕を回されて縄で縛られているようだ。

「A…!良かった…」

隣から聞こえる零の声。そちらを向く。



『…っうーわ、いったそ…』

顔を殴られに殴られた零が柱にもたれかかる状態で鎖で縛られている。既に腫れあがっていて、目の下には青どころか黒く変色している痣もある。

見ているこっちが痛くなってくる。私は思わず顔を歪めてしまう。



『かわいそうに…犯人はイケメンに恨みでもあるんか…』

幸い、私は縛られているだけのようで体に痛みはない。

「A、僕のことイケメンだと思ってくれてるのか?嬉しいなぁ。」

はは、と笑う零。出血している頬からにじみ出てくる血。

『そんな痛々しい顔で言われてもね…』





がちゃり、と開かれるドア。



「お、起きた?A。」



さっき意識を飛ばす前に聞いたのと同じ声。しかも最初から呼び捨てかよ…生意気。

姿を現したそいつは意外にも幼い顔をしている。

そいつが着ている黒いパーカーには血しぶきのようなもの。零のものか、それとも別の誰かの…



『あなたが私達をこんなんにしたのね?』

私はいかにも冷静を装って言う。心の中ではびびりまくりだ。気配の消し方が只物ではない。

「そうだよ。」

にこり、と笑うそいつ。





「ぼくはサルビア。よろしくね。」





笑ってしまえばただの少年のようだ。気味が悪い。

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- 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!ゆるりと更新していくので読んでやってください! (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
- 1ページの文字数が少なくて読みやすいです! 更新頑張って下さい! (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:微睡 | 作成日時:2023年7月31日 18時

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