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『だあぁ〜〜〜〜〜あっっっちいぃ……』
「Aうるさい。」
私は今日も張り込みだ。このくっっっそ暑い中、また標的は外を呑気に歩いている。前回とは違うカフェで可愛い店員さんを口説いている。
しかも今日のペアは零だ。全然可愛くない…
滴る汗を拭う。コンクリートが余計に私達に熱をじりじりと与えてくる。
『はぁあ…暑いし…隣にいるのはむさくるしい金髪ゴリラだし…』
「今言った言葉全て撤回しろ…暑い日に暑い暑い言ったら余計暑くなるだろ。あぁ暑い…」
『金髪ゴリラもだよ…暑いな…』
体温が上がり過ぎている。自分が立っている感覚がよく分からなくなってくる。
なんだか零の金髪もぼやけて見える。
あれ?金じゃなくて…青?
「っA!!」
体が地面に叩きつけられる感覚。コンクリは熱を帯びていて火傷しそうだ。今すぐ起き上がりたいのに、体が動いてくれない。あぁ、こんがり焼けてしまう…
私はそこで意識を失った。
『ん…』
目を開けると白い天井。病院…?かと思ったが違う。見覚えのある部屋。かけられた布団に残るよく知っている甘い匂い。
「起きたか、A。」
ガチャリ、とドアが開けられ、零が顔を出す。
『…うん。』
ここは零の部屋だ。警察学校を卒業してから何回か来たことがある。
「張り込み現場からだと、警視庁より僕の家の方が近かったからな。既に玲さんには連絡してある。Aは今日はこのままここで休め。」
零が私にコップに入れられた水を差しだす。
私はベットから起き上がる。体が左右に揺られる感覚。
『…張り込みはどうなったの。』
水を受け取ってこくり、と飲む。あぁ、体にしみわたっていく…
「Aが倒れて直ぐに連絡して代わりの人に来てもらった。来るまでの間、標的に動きはなかったよ。」
そう言って零は私の肩を押してベットに戻す。まだ体調が万全でないことがバレたか…
「張り込みの方は大丈夫だ。だから今日は寝てろ。」
零がベットの端に腰かける。
「…それより玲さんから伝言だ。倒れるまで無理するな、自分の体調を第一に考えろってさ。」
私は両目を左腕で覆う。
『…うん。そうだよね…』
分かってる。そんなこと。分かってるけど…
『…頑張ったら、玲さんが褒めてくれると思って…』
「それで無理したのか?」
『うん…迷惑かけて…ごめん。』
零がふはっ、と笑う。
「Aが謝るなんて、明日は雷かな。」
ーーーーーーーー
続きます。
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泉 - 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます!ゆるりと更新していくので読んでやってください! (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
泉 - 1ページの文字数が少なくて読みやすいです! 更新頑張って下さい! (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:微睡 | 作成日時:2023年7月31日 18時