18 ページ18
パーティーから帰ってきた私達。濡れた服のまま玲さんの元へ報告しに行く。
部屋の中の空気で体が温まってきたので、ジャケットは零に返した。
「『戻りました。』」
玲さんがこちらを向く。
「おー…ご苦労様。はは、2人ともだいぶ濡れてきたね。」
『はい、途中で雨に降られちゃって…』
「一旦報告しにきました。これから着替えてきます。」
「うん、ありがとう。風邪ひかないようにね。」
ふわりと笑う玲さん。あぁ、今日の疲れが一気に吹き飛ぶ…
私は着替えようと女子更衣室に入る。更衣室の扉を閉めようとした瞬間、
ガッ、と誰かの手によって防がれる。
『…誰だ。』
私は扉を閉めようとする力を強める。
「俺だよ、A。」
顔を出したのは玲さんだった。
『れ、玲さん…！？どうしたんですか！！』
玲さんは堂々と女子更衣室に入ってくる。まぁ、私以外誰もいないけれど…
ふと見ると、手にはスポーツタオルを持っている。
『…わっ！！！』
玲さんが私の頭をタオルでわしゃわしゃと拭いてくれる。
タオルからは玲さんの優しい匂いが溢れてくる。私の顔はどんどん熱くなる。
「A、お疲れ様。…怪我がなくて良かった…」
『え？怪我って…』
私が顔を上げると、玲さんが私の頭を拭う手を止めて見つめ合う。
「…銃声が聞こえた時、Aが撃たれたのかと思った。」
はあぁ、と大きく息をつく玲さん。その目は玲さんが撃たれた太ももを見ている。
「撃つなら先言ってよ…」
『えぇ、そんな無茶な…ふふ、でもありがとうございます…えへへ…』
「何笑ってんのー？」
玲さんが私の頬をむに、と挟む。
『ふへへ…玲しゃんが私のしんぴゃいをしてくれへるの、嬉しふて…』
えへえへと笑ってしまう。玲さんの優しさに顔のにやけが止まらない。
「もー、人が心配してるのに…」
玲さんがより強く頬を挟んでくる。
『えへへ…ごめんなしゃい…』
「それに、そんな格好しちゃって…ダメだよ。」
玲さんが眉を上げる。
『え、ええこれですか？後輩が選んでくれたんですけど…似合わないですか…』
玲さんにダメ、と言われたのがショックで俯いてしまう。
「あぁ、違くて…もーそうじゃなくて！」
ぐい、と玲さんに両手で顔を上げられる。
「似合ってるからダメなの！怪しい人に声掛けられちゃうよ！！」
『ふ、ふええぇ…？』
「分かったら早く着替えてこい！」
そう言って玲さんは更衣室を出ていく。
『…ふぁい…』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 82人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
泉 - 久しぶりに来たら続きが更新されててうれしい🎵⤴️ (8月22日 15時) (
レス) @page50 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
微睡(プロフ) - 泉さん» ありがとうございます！ゆるりと更新していくので読んでやってください！ (8月5日 10時) (レス) id: abcbb5d66a (このIDを非表示/違反報告)
泉 - １ページの文字数が少なくて読みやすいです！ 更新頑張って下さい！ (8月4日 7時) (レス) @page6 id: 5bd30ec6cb (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：微睡 | 作成日時：2023年7月31日 18時
