聴こえない ページ28
薬研藤四郎ver.
「…君が何のつもりでこの子に近付いたかは知らないけれど、
そう易々と信じられる訳じゃないんだよね」
不意に聞こえた、髭切の旦那の鋭い言葉。
俺と…鶴丸の旦那は思わず会話を中断して、室内に顔を向ける。
そこには源氏兄弟に挟まれた女子と、獅子と蛇に睨まれながらも平然と笑っている、乱が居た。
…なんで、乱がここに？
まさか付いてきていたとは思わなくて、俺は一瞬 強張ってしまった。
乱はこの本丸で''唯一''と言っていい程、初代の主…審神者を知る短刀の1人だ。
ずっとここに来る人間を、ここが荒れていく様を見てきた乱藤四郎は誰にも…勿論、俺っちにも余り屈託のない笑みを見た事がなかった。
そんなあいつが、一体なぜ？
疑問が浮かんでは消え、俺の頭は久し振りに真っ赤な警告音が鳴り響く。
「何のつもり？
……そうだね、僕は君という人間に興味が湧いたからかな」
そう言って乱はくいっ と此方に顔を向け、俺の目を見ながらふっ と微笑んだ。
まるで、分かってるんでしょ と言いたげな表情はとても柔らかく、''何か''をもう諦めていた。
それは、ぷつんっ と紅い系が切れる様な
俺が乱の眼から逃れられないでいると、乱はまた源氏兄弟の方へと顔を向け、いつもの淡々としたソプラノ声で話し始める。
「だって、薬研だって信じてる訳だし
…それにあのノートから伝わって来る字は、とても優しかった。
一兄が貴方に刃を向けた時だって、自分の事の様に悲しんだ。
…それは、まるで_______」
そこまで言って、止まった
目は真っ直ぐあの女子を見ているが、…別の遠い所を見ている気がする。
ここではない、この場所ではない…何処かを。
何か、思い出してる様な
儚い、小さな何かを
「…まるで、そう
''あの人''みたいだな、って思ったの。
優しく気高く、品があって…そしてとても僕が好きだった人に」
乱がそう言い終わると、俯き、静かに呟く
会いたい、
守れなかった、
あの人の大切な本丸を、皆んなを
そう弱々しく呟いて、乱は静かに顔を上げる。
綺麗な透明の雫が天色の瞳から溢れ出していて、畳に染みを作っていく。
ぽたぽた、まるで涙雨のように
こんな乱を俺は初めて見た
一兄を、皆んなを…俺を不安にさせないようにしていたからか。
止まる様子は無かった
「…あの人が僕を信じてくれた様に、僕も人間を信じてみたい」
.
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柚子×たいやき(プロフ) - 朔さん» もし指摘して下さるのなら、説明出来る範囲で説明致します。話を投稿する時は、私の方で再度検討いたしますので、今後も温かい目で見てくださると嬉しいです。私の完全な力不足です、本当に申し訳ありませんでした。 (2019年4月30日 19時) (
レス) id: d382c0e04c (このIDを非表示/違反報告)
柚子×たいやき(プロフ) - 朔さん» もし私の表現で不快にさせてしまったのなら、申し訳ないです。 どこの場面でしょうか？私はまだ未熟な学生なので、難聴という病を調べてみましたが、私の力不足だったのかもしれません。 (2019年4月30日 19時) (レス) id: d382c0e04c (このIDを非表示/違反報告)
朔 - 聴こえてないのに突然話しかけられて驚くんですね笑笑 (2019年4月24日 7時) (レス) id: c3964f1a90 (このIDを非表示/違反報告)
柚子×たいやき(プロフ) - 空さん» 返信遅くなり申し訳ないです。今まで諸事情で書けないでいましたが、書かせて頂きます。ですが、私は今年受験の身なので、ペースは遅いかもしれないです。待っていて下さって、本当にありがとうございます。頑張ります (2019年4月2日 15時) (レス) id: d382c0e04c (このIDを非表示/違反報告)
空 - もう書かないんですか？面白いので続き気になります (2019年1月7日 4時) (レス) id: e5333279ca (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：柚子×たいやき | 作成日時：2017年5月6日 15時
