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叶乃は重たい口を開いた。
「…だから、10年後の約束？」
「……うん。
やっぱり、僕にとって叶乃は
大切な人だからさ…」
泣きそうになるのを、ぎゅっとこらえる。
泣いても、親の都合だから
どうにもならないってわかってるから。
泣いたって意味がないのなら、
笑ってさようならをしたい。
「……そっ、か。
引っ越しちゃうのか………。
寂しくなるなぁ………」
叶乃にしては、
わかりやすい作り笑いだった。
10年後の8月にまた出会えるって信じて、
僕は違う町で生きていくよ。
「……いつ、行くの？」
君は消え入りそうな声で、
小さくつぶやいた。
「………明後日」
叶乃は僕のその言葉に、
目を丸くしていた。
そうなんだ。
僕らに残された時間は、
たった48時間しかないんだ。
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作者名：金平糖 | 作成日時：2013年8月23日 19時
