火曜日 ページ3
結局昨日、お父さんには何も話せずに、一緒にステーキを食べた。
電車の中で、大欠伸を噛み殺す。
だってアクビする時の顔って、不細工だから。
昨日は一睡も出来ず、今日鏡で見たらクマができてた。
最悪。
顔面偏差値下がっちゃうじゃん。
電車を降りて、定期を改札に押し付けて、学校へ向かう。
「あら、おはようAちゃん。」
『ん！梅雨ちゃんおはよ〜！！』
途中でたまたま梅雨ちゃんに会った。
二人で横並びになる。
「酷いクマ…大丈夫？寝れなかったの？」
『そうそう、聞いてよ〜昨日さ…』
「？」
つい、昨日のことを口に出しそうになった。ハッとして言葉を飲み込む。
すると梅雨ちゃんが、不思議そうに大きな瞳で私を見つめていた。なんか全部見透かされているようで、ちょっと怖い。
まだお父さんにも言えてないのに、彼女に言うのは気が引ける。
「昨日…どうかしたの？」
コテン、と梅雨ちゃんが首をかしげる。
やっぱ可愛い子がやるとなんでも可愛い。
『実はスマホ弄りすぎてさ…目が冴えちゃったんだよね。ヤバイ、絶対今日の授業寝るわ。多分今の私なら、爆音マイクせんせーの授業も寝れる！！』
「それは誇れることじゃないわよ、Aちゃん。」
頭の裏をかいて、軽く笑いながらごめんなさいと言う。
いつもの会話だ。私がボケて、それに梅雨ちゃんがツッコミをする。
「まだ時間も早いから、教室に着いたら仮眠すると良いわ。授業中は頑張って起きるのよ。」
『うー……ん、なんとか頑張ってみましょう！！』
二人で楽しく話せば、巨大なマンモス校までの道のりも退屈しなかった。いつもと同じように下駄箱に靴を入れて、廊下を歩く。
そう、いつも通り。
特に何かあるわけでもなく、平和だ。
「そう言えば、昨日病院に行ったのよね？どうだったの？」
『あー…何でもないって。多分まだ本調子じゃないだけだよって言われた。』
「それは良かったわ。私にお手伝いできることがあれば、何でもするわ。ぜひ頼ってね。」
もし私が
本当は、1週間後に死ぬって言われた。
なんて言ったら、この子はどんな顔するんだろう。
きつい冗談はやめて、と軽く肩を叩かれるのだろうか。
『はぁぁ、さすが梅雨ちゃん！女神すぎん？好きだわ〜私梅雨ちゃんお嫁さんにしたい！！』
なるべく明るい顔を作って茶化す。
でもそれは梅雨ちゃんにスルーされた。ぴえん。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 960人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！主人公に感情移入してしまい、気付いたら「私は数日後に死んでしまうんだ」という気持ちで読んでいました。友人や家族を思いやっていて素敵でした。素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました！！！ (2022年10月26日 22時) (
レス) @page40 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ - はじめまして！完結おめでとうございます！とても感動したし、命の大切さなどもより知れました！この作品に出会えてよかったです！ (2021年6月20日 18時) (レス) id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - ヒマワリさん» 感想をいただけてとても嬉しいです、ありがとうございます！！私自身恋愛よりヒロアカ女子との友情が見たかったのでこうしたんですけれど、喜んでくださって嬉しいです！！ちょっと小躍りしてます笑笑 (2020年8月13日 19時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマワリ(プロフ) - はじめましてこんにちは。完結おめでとうございます。自分はすごく涙脆いのですが、今回のこの小説はかなりヤバかったです。めっちゃ泣きました。それと同時に、響香ちゃん推しなので、響香ちゃんの出番が多い話が見れて嬉しかったです。長文失礼しました。 (2020年8月13日 19時) (レス) id: c31f8595d4 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - たぴさん» ああ…えもえものえも過ぎます…(語彙力)感想嬉しいです、ありがとうございます！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でででででん | 作成日時：2020年5月29日 18時
