・ ページ15
「Aと一緒に行きたいし、ウチ校門の外で待ってるよ。」
『え？ほんと？じゃあ早く用事終わらせないとね！！すぐ終わらせるから待ってて！』
きょーかは先に行かずに、私を待っててくれるらしい。
もう本当に大好き、君優し過ぎない？ 大丈夫かな？？ 前世は看護師だったりする？
思ったことを言えばイヤホンジャックが飛んでくるのは経験済み。だからそれを飲み込んで当たり障りの無い話をした。
あのヒーローのニュースがかっこよかったとか、あの芸能人がまた不倫したとか、ここのお店の料理は全部美味しいとか。
そんな話をしながら途中まできょーかと歩いて、一度別れる。
外に足を踏み出したきょーかにヒラヒラと手を振って、彼女の姿が見えなくなってから一人考える。自分が死ぬ時って、学校に何をどう伝えれば良いんだろうって。
こういうの初めて…っていうか、何度もあったらそれはヤバイ。
……取り敢えず校長先生に話せば良いのかな？
思い立って校長室に向かい、扉を前にしてそれを数回叩いた。
しかし何の返事もない。
『あれ、校長先生いない？』
確認のためにこっそりドアを開けると、やっぱりいなかった。こういう事って勢いで言わないといつまでも言えないから、早く伝えたいのに。
居ないものはしょうがないので、校舎内を探すことにした。
きょーかも待ってるし、時間が経つとせっかくの決心も鈍るから早く言いたいのに、居ない。もうかれこれ二十分は探し続けているのに、全然見つからない。
ちょっと疲れたので、中庭の花壇の淵に座った。
『もう！この学校広過ぎ……校長せんせー、ちっちゃ過ぎて見逃しちゃったのかなぁ。』
空を仰げば綺麗な青空。そんなわけもなく、あいにくの花曇り…あー…もうそんな季節じゃないか。普通に曇天。
空を見上げたまま盛大なため息をつくと、灰色の手前に小動物が顔を覗かせる。
「やぁ、僕に用事かい？」
『あっ！校長せんせー居たぁ！！』
ガバッと勢いよく顔を上げると、さも当たり前かのように校長先生は私の石頭を避けた。
反射神経すご…
『せんせー、本当に大事な話があるから聞いてもらえる？』
「うん？君が真面目な話なんて珍しいね、分かった。聞こうじゃないか。」
85センチの小柄な先生を抱え上げて、再び校長室へと足を向ける。
『やっぱせんせー毛並み良いね！ずっと触ってられる〜〜』
「HAHAHA！毎日手入れしてるからね。」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 963人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！主人公に感情移入してしまい、気付いたら「私は数日後に死んでしまうんだ」という気持ちで読んでいました。友人や家族を思いやっていて素敵でした。素晴らしい作品を読ませていただき、ありがとうございました！！！ (2022年10月26日 22時) (
レス) @page40 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
ぽちゃ - はじめまして！完結おめでとうございます！とても感動したし、命の大切さなどもより知れました！この作品に出会えてよかったです！ (2021年6月20日 18時) (レス) id: fffe7db0be (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - ヒマワリさん» 感想をいただけてとても嬉しいです、ありがとうございます！！私自身恋愛よりヒロアカ女子との友情が見たかったのでこうしたんですけれど、喜んでくださって嬉しいです！！ちょっと小躍りしてます笑笑 (2020年8月13日 19時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
ヒマワリ(プロフ) - はじめましてこんにちは。完結おめでとうございます。自分はすごく涙脆いのですが、今回のこの小説はかなりヤバかったです。めっちゃ泣きました。それと同時に、響香ちゃん推しなので、響香ちゃんの出番が多い話が見れて嬉しかったです。長文失礼しました。 (2020年8月13日 19時) (レス) id: c31f8595d4 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - たぴさん» ああ…えもえものえも過ぎます…(語彙力)感想嬉しいです、ありがとうございます！！ (2020年8月9日 18時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でででででん | 作成日時：2020年5月29日 18時
