検索窓
今日:6 hit、昨日:60 hit、合計:159,440 hit

103 ページ6

『みんな、同じだよ。』

「……?」

『誰も、その場から動かなかった。』





彼女の口からハンカチを離し、ポケットにしまった。





『自由に動けたのに。……でも、誰も……装置を止めようとはしなかった。……私もね。』





アメジストの目は、私だけを映していた。





『それにさ、私だったら……こっちに残した人に、自分の事を引きずって人生を生きて欲しくないって思うよ。
だから……全部、自分のせいにしないで。』





この言葉が、彼女の心に響くとは思ってない。たかだか会って数日の人間の……しかも、ケイジさんや他の人のように、信頼関係があるわけでもない。


それでも……兄弟がいるからなのかな。

あんな顔をされては、放って置けない。





『……ほら、ご飯……あー…サラちゃんの冷めちゃったけどさ、食べよう?』





コクリと頷いた彼女は、冷えた夕食を口に運んだ。私も、彼女と話している時に届いたおでんを口に入れる。

今日はうっかり朝食を抜いてしまい、昼もそんなに食べていないので……とても満腹感を覚えた。



夕食も取り終わり、席を離れて立ち去ろうとすると、手を掴まれた。

彼女の要件は、アトラクションに行かないかというものだった。私もアトラクションを進めなければいけないので、すぐに承諾する。





『……私で良ければ。誘ってくれて、ありがとう。』









アトラクションの中の通路は、少し他の場所よりも明るい。



二人で挑戦するために選んだモノは“心霊シャッターゲーム”。

これはサラちゃんからの提案だった。


夜中にこれを選ぶのは勇気があるなと、横を歩く彼女を見て思う。横目で、気づかれないようにチラチラと彼女を見ていると、突如彼女と目があった。

目が合った事で、一瞬心臓が止まる。





「……前から思っていたんだ。私のこと、呼び捨てにして欲しい。』

『よ、呼び捨て…?』

「その……友達から、ちゃん付けされるのは慣れてないんだ。」





恥ずかしそうに、そっぽを向いた彼女が言った。





『うん、分かった……サラ。』





そのままお互い笑いながら、アトラクションの説明が書いてある看板まで足を動かした。

説明文を読み、今回はサラちゃ…サラが挑戦することになった。私が気絶している間、似たようなものをやったことがあるらしい。





そのため、このアトラクションはサラに頼ることにした。

104→←102



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (147 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
179人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…!(( お体にはお気をつけて!これからも楽しみにしています! (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え?そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…! (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:でででででん | 作成日時:2020年4月28日 9時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。