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レコさんの言葉に反応したサラが、ニセモノと繰り返す。するとソウさんが、ニセモノはいるのではないかと真剣な顔で言っていた。
場を掻き乱そうとする訳ではなく、おそらく本当にそう思っているのだろう。
「言葉通りだよ。深い傷が突然治るなんて、ありえないでしょ?ミシマさんのモニターを破壊したレコさんは…ニセモノだったんだよ。ね、Aはどう思う?」
今までサラの方を見ていたのに、いきなり私に話を振ってきた。
困るなぁ……平然としているだけで体力を使うのに、話しかけないでほしい。
…ああ、でも。
私が平気なフリをしているからか。
「今は、そんな……!」
「どうせ状況は袋小路だよ。…ねえ、サラ。ゾワゾワしない?この不可解な謎を残して、話を続けるの………で、どう思う?」
私の目を真っ直ぐに見ながら、ソウさんが再び聞いてくる。
多分、毒の進行具合には気づいていない。
よかった…
『そうですね…私は逆だと思います。モニターを破壊したレコさんは本物で、今がニセモノだと……もしニセモノがいるなら、こっちの方が正しいと思います。』
「そ、そんな訳ないでしょ!!そこにいるレコは本物よ!!」
『アリスさん……けれど私、一昨日からレコさんに違和感を感じるんです。』
「違和感って、何だよA!オレの何が…!」
ソウさんが何か喋る前に、レコさんが私に言った。焦っていて、本当に何も知らないんだろうなと思う。
けれど、何か違うのも事実。
確証と呼べるものは殆ど無いけれど、私の感覚がそう言っている。
『……レコさん、どうして自分のことをオレって呼ぶんですか?』
「は、ハァ?何言ってんだ……?」
『前までのレコさんは、ワタシと言っていました。オレと言いそうになっても、ワタシに訂正してたんです。』
「一人称なんて、どうなろうとオレの勝手だろ……!」
『今までワタシと言っていた人が、平然とオレ呼びになりますか…?少なくとも一日目まではワタシ、二日目のあの時からは普通にオレ呼びになっていました。この短い時間でどうして一人称が変わるんです?』
ああ……胃が焼けるように、気持ち悪い。息も苦しい。いつものように話しているだけで、呼吸を止め続けるような感覚に陥る。
そろそろ疲れてきた、もう終わらないかな。
早く……
「と、とにかく!!オレはモニターを破ったことはねぇ!!話がさっぱりだ!」
良かった、終わった。
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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…!(( お体にはお気をつけて!これからも楽しみにしています! (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え?そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…! (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でででででん | 作成日時:2020年4月28日 9時