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「なあ、テメー“お兄ちゃん”が死んでた時どんな気持ちだった?」


『え……?』


「テメーが一番最初に見つけたんだろ?写真見たぜぇ、部屋のど真ん中で首吊ってんの!下に排出物が落ちててさぁ!やっぱさ、汚っねぇー、とか思った?」


『なに、言って…』





人を馬鹿にするような笑みを浮かべて、私を見下ろすその人形。
スルリと伸びた人形の両手が、私の顔を包み込むように動かされる。

身につけられた手袋の感触が、頬を伝った。





「あはは、“お兄ちゃん”が死んでも一度もテメー泣いてねーし、殆ど一人で黙々と葬式の準備してたもんな!
……てことは、ノイローゼになって自分から首をロープに括り付けてくれて嬉しかった?」


『そんなわけ……ない…』





どんどん体の震えが酷くなっていく。





「やっぱ嫌だよなぁ!ムカつくよなぁ!?だってそのせいで、」





テメーの傷が増えるようになったんだから。

次に来る言葉は容易く想像できた。
それを阻止するために声を振り絞ろうとすると、突然乾いた大きな音が鳴る。

たぶん膜のような物に思いっきり手を打ち付けた音だろう。





「やめなさいよ!!!」





その後鳴り響いた大声に、肩が跳ね上がった。怒気をはらんだそれはアリスさんの声だ。つられて左を向けば、怒った様子でノエルを睨みつけたアリスさんが此方を見ている。





「はぁ?何言って…」





私への言葉を停止させられたことが気にくわないらしい。私の顔を包み込んでいた人形の手袋が、頬から離れた。





「これ以上Aを傷つけるのはアタシが許さない!!その子がアンタに何したって言うのよ……!」




私のために、アリスさんが怒ってくれている。
どうしてかは分からない。けれど、絶望で冷え切った心がゆるやかに温まって行く。

それでも当の人形はその言葉を聞いても沈黙している。私に背を向けた形で立っているので、表情はよく分からない。





「どうしてそんなにAさんを虐めるんですか!!」





何も言わないノエルに痺れを切らしたのか、カンナちゃんが大粒の涙を零しながら叫んだ。
ああ、やっぱり優しい子だなぁ。

こんな私を心配してくれるなんて。


よく見ると、ノエルに対してケイジさんもソウさんも怒ったような表情をしている。ケイジさんは何となく分かるが、ソウさんもである。



…………ああ、良かった。

これなら毒針で命を落としても、私の気持ちは満たされる。

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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…!(( お体にはお気をつけて!これからも楽しみにしています! (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え?そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…! (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:でででででん | 作成日時:2020年4月28日 9時

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