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私の目の前では、レコさん、サラ、カンナちゃん、ナオさんが楽しそうに笑いながら歩いていた。
ふいに、ナオさんが笑いながら振り返り、私の方を見た。
するとみるみるうちに笑顔が消え、青ざめた顔になる。
「だ、大丈夫ですか!?」
その声で、みんなが一斉に振り返る。
ナオさんは私に近寄り、背中をさすってくれた。他のみんなもこちらに駆け寄ってくれて、口々に心配の言葉をかけてくれた。
「私、Aちゃんを医務室まで連れて行きます。みなさんは先にお風呂に入っててください。」
『ありがとうございます、ナオさん。でも……私、一人で行けます。お風呂楽しんできてください。』
「で、でも……ダメです!一人じゃ心配です。」
そう言うと、ナオさんは私を支えながら医務室の方へ歩き出した。
ナオさんは心配だからしばらく一緒に居ると言っていたが、ハンナキーに説得されてお風呂へと戻った。
「Aさん、気分はどうですか?落ち着きましたか?」
『はい、だいぶ。』
ハンナキーが入れてくれた紅茶を手に持ちながら、答えた。
ティーカップから伝わる熱のおかげで指先が温まる。
「えっと…それでは、お体の方、拭かせていただきますね……」
『うん、ありがとう。』
傷に触れないように濡れた布で体を拭かれ、体を拭くついでに包帯やガーゼを新品に変えてもらった。
頭は布で拭くわけにもいかず、医務室の洗面器に頭を突っ込んで自分で洗った。
ドライヤーの熱風で髪を乾かし終えると、ハンナキーがキャンディーを差し出してきた。
「これ、お詫びです……」
『お詫び?』
「はい、本来Aさんは始めからここに呼ぶ筈だったんです。………けれど、ノエルさんが……」
『あー……なるほど。分かった、ありがとう。』
受け取ったいちご味のキャンディーを三つ、ポケットにしまった。
砂糖がたっぷり入った紅茶も飲み干して、ハンナキーにお礼を言って医務室から出た。そのまま自室に戻ったけれど、特に誰とも会わずに部屋へ戻る事が出来た。
洗面所にある種、手紙、ビデオテープ、メダル、クリアチップ……少ない荷物を整理して、机の上にまとめた。
今日はもう特にやる事もないので、薬を飲んで布団に入る。
このクリアチップ集めも今日で終わり。
ついに明日は、必ず二人を犠牲にしなければならないメインゲームだ。
……どうか私が、選ばれますように。
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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…!(( お体にはお気をつけて!これからも楽しみにしています! (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え?そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…! (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でででででん | 作成日時:2020年4月28日 9時