117 ページ20
「カイだよ。」
『え……カイさんが？』
驚きのあまり、持っていた箸を落としそうになった。
てっきり私は体格の良いケイジさんかQタロウさんだと思っていたが、それは違うらしい。
「Aちゃんを最初に見つけたのもカイだよ。」
「ずっとA姉ちゃんのことおんぶしてたニャン。………あ、でも…アイツぶん殴った時は流石に下ろしてたワン。」
『アイツって……？』
「ホエミーだ。まあ…色々あってな。あんまり気にするな、A。」
『……分かった。』
どうしてカイさんが、私を？
単純に優しかっただけなのかもしれないが、ずっと背負っていたのが気になる。いくらなんでもずっと背負うには、私の体重は重すぎる。
それでは腕が痺れてしまうし、体力だって削り取られるはず。
なんで……？
それから夕食中ずっと考えたが、全くしっくりくるような答えは思い浮かばなかった。
「A……」
『はい？どうしました？』
場所は荒れた廊下。
アトラクションを一緒にやってくれる人を探しに歩いていると、Qタロウさんに話しかけられた。今朝以来だ。
「アトラクション、多分あとお前さんだけがや。どうじゃ、一緒に行かんか？」
『もちろん行きます。』
お互いに最後のアトラクション、“タメウチカードバトル”。それに挑戦するために、目の前にある崩れた穴のような場所を潜って先へと進んだ。
アトラクションに進む長い通路で、遥かに上の方から質問が飛んでくる。
「なぁ、A…此処を出たら、お前さんは何がしたい？」
『うーん……あ、妹の…』
「違う違う、お前さん自身の事じゃ。」
『……立派に高校卒業…したいですね。』
「お前さん、ひょっとして成績悪いんか……？」
『えへへ……』
つい言ってしまった真意を隠すために、照れ臭そうに笑う顔を作った。
成績が良くても高校を卒業することはできない。
まぁ、別に良いんだけどさ。
重くなった気持ちを騙すようにニコニコと笑いながら通路を歩いた。
アトラクションに着くと、Qタロウさんが挑戦すると私に言った。そのため、お言葉に甘えて部屋の隅っこに背中を預ける。
壁にもたれながら次に出そうなカードを予想して、それを彼に伝える。それを繰り返してあっという間にこのアトラクションも終わった。
クリア後に荒れた廊下に戻り、Qタロウさんからクリアチップを一つ、手の平に乗せられる。
……これでようやく十一個、全て揃った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 179人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます！なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (
レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…！(( お体にはお気をつけて！これからも楽しみにしています！ (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え？そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…！ (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：でででででん | 作成日時：2020年4月28日 9時
