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ケーキを注文した時、ハンナキーに言われた。
返品はペナルティーですからね、と。
『……ケーキ…うーん……』
とりあえず六等分された内の二つを食べたのだが、気持ち悪くなった。一日かけて食べれば良いかと諦め、甘い香りがするあの部屋から他の場所へ移動した。
とにかく今はあのケーキを見たくなかった。
アトラクション攻略がまだ終わってないので、人探しのためにそこら辺を歩き回る。
歩き回っていると、憩いの場で頭を抱えて唸っているカンナちゃんを見つけた。
声をかけると、あと一つ攻略していないアトラクションがあるけれど、他の人達がクリアしてしまって入れないと言っていた。
あと一つ……カンナちゃん、結構早いペースでクリアしてきたんだな。
『そのアトラクションって、どれ?』
「これです……」
細い指で指された先を見ると、“居合道一閃”と書かれている。難易度を見て、人が見つからない理由に納得する。
難易度が低いから他の人は先にクリアしてしまったのかもしれない。
『私、それまだクリアしてないよ。』
「えっ!本当ですか!?あの、良かったらカンナと一緒に……」
『うん、一緒に行こう。』
私も彼女が居ないとクリアできないので、お互い様だ。
ケーキのせいで気持ち悪かったけれど、流石に彼女に武器を持たせる訳にはいかなかった。
吐き戻さないと良いんだけれど。
胃からの逆流を心配しながら、武器を取って目の前の敵を倒した。少し武器は重かったが、難易度が低いこともあって難なくクリアすることが出来た。
今だに気持ち悪いが、前程酷くはなくなり安堵する。
それから受け取ったクリアチップを彼女に分けた。
『はい、これ。』
「ありがとうございます…あの、Aさん。」
『ん?どうかした?』
「顔色が悪いような気がして……」
『え、ああ……これは……』
ケーキのせいで、と続けて言おうとしたところで一つ思いつく。
人にあげれば一日かけてケーキを食べなくても済むのでは、と。
『……ねえ、ケーキって好き?』
「え?は、はい…好きですけれど……?」
『お腹は空いてる?』
「はい、お昼はまだなので……」
『ちょっとロビーで待ってて!』
それだけを彼女に伝えて急いで部屋に戻った。
切り分けられた内の一つとプラスチックのフォークを小皿に乗せて、部屋を出る。
それからロビーに戻り、ケーキを一つ彼女に渡した。
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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます!なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…!(( お体にはお気をつけて!これからも楽しみにしています! (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え?そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…! (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でででででん | 作成日時:2020年4月28日 9時