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『こんな状況なら、誰でもそう思ってしまうことだってあるはずだから……Qタロウさんを責める事じゃないとは思うんです。』
『だけど、思い直してくれるなら。……またみんなと一緒に、もう少し頑張ってくれませんか？』
「……」
脅すような言い方は好きじゃないけれど、子供思いのこの人に一番効くのはきっとこの方法しかなかった。
『……私は、アナタにメダルを渡すことはできません。』
返事は聞けていないけれど、私には彼がもう一人で脱出をしないということを確信していた。
だって、メインゲームの時から知っているから。
根は優しい人だって。
しばらくは一人にさせた方が良いだろうと思い、階段を降りてその場から離れた。
その後。
荒れた廊下のパソコンが見つかった部屋で、私はなんとなく遺書を開いて読んでいた。それは無意識に近かったと思う。
乾燥した紙に目を落とすと、ぼんやりとした匂いが鼻腔をかすめた。
それに疑問を持ち、鼻先へ手紙を近づける。
………レモンのような、オレンジのような。
柑橘系の匂いが、微かに手紙から漂っている。
何故こんな匂いがするのかと最初はよく分からなかった。けれど、少しして一つの可能性にたどり着く。
たどり着いたと同時に、私はバースデーケーキを注文するために早歩きでロビーへと向かった。
ハンナキーに注文すると、怪訝な顔をされたがすぐに用意して持ってきてくれた。彼女にお礼を言って、兄の誕生日によく目にしたホールケーキを手に持って、廊下を歩く。
その時何人かにすれ違った。
ギンくんは私の持つケーキに目を輝かせたけれど、今朝のことを思い出したのか私から顔をそらした。
サラも良いな、という風に食べたさそうにしていた。
あとの人は……みんな疑問を浮かべたような顔で、遠くからケーキを見ていた。
それらの人達と軽く会話して、私はようやく自室へと戻った。
バースデーケーキを机の上に置いて、遺書を取り出す。
それから私は文字が書いてある面の反対側を、ホールケーキの上でユラユラと揺れているろうそくへと近づけた。
焦がさないように、ゆっくりと時間をかけて遺書を炙っていく。
すると次第に、茶色の文字が現れ始めた。
ああ、良かった。
やっぱり、お兄ちゃんはあんなこと書くような人じゃなかった。
浮かび上がった文字の一部を読んで、手の震えを感じた。
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でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます！なんとか5月中に2章完結目指して頑張ります。笑 (2020年5月20日 23時) (
レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - 何度もコメントすみません…今日更新多くて嬉しいです…！(( お体にはお気をつけて！これからも楽しみにしています！ (2020年5月20日 22時) (レス) id: cc998c0500 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - しきさん» え？そう言ってくれて嬉しい… (2020年5月16日 7時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
しき(プロフ) - え?表紙好き… (2020年5月16日 1時) (レス) id: 0c957ac632 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - 匿名さん» ありがとうございます…！ (2020年5月14日 21時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：でででででん | 作成日時：2020年4月28日 9時
