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目の前にいる、変なモノを見て緊張をお腹に感じた。



脳裏に思い浮かぶのは、昨日ケガをして痛そうにしていたあの子。それにコレは最難関ではないとは言え、全てのアトラクションの中で二番目に難しいモノだ。

……私が絶対に、一人でクリアしないと。





深く、息を吸った。









一つ目の顔の敵を倒し、二つ目の水色のドロドロも順調に倒した。

ふと気になって後ろを見れば、ギンくんがじっとこちらを見ている。手をぎゅっと握り、その瞳は揺れている。





『大丈夫……絶対にここの敵、私が倒してみせるから!!』





不安にさせないように、私は笑った。





「……うん!」









あとは、目の前に出現した灰色のコイツだけ。


相手が繰り出すエリアから出ないように、ひたすら足元を見て動き続ける。

しばらく動いていると、いきなり足元のエリアが消えた。慌てて顔を上げて目の前を見ると、灰色のモノが消えていく。




……終わった。





「……や、やったニャン!!」

『わっ…!?』





息を吐く間もなく、背後から飛び掛かられた。ギンくんは嬉しそうで……その顔を見て、私にも喜びが湧いてくる。

飛びついてきた体を床に下ろして、頭を撫でた。


さっきは怒られたが、今は怒る様子がない。




チャオチュールを見た猫のようだ。





『……よし!じゃあ、外に出てクリアチップ貰いに行こう?』

「ニャン!!」





そう言って、私達はもう何もいない空間を去った。









『はい、どうぞ。』

「……一個多いニャン。コレ返すワン!」





目の前に突き出された、一つのクリアチップ。

……律儀な子だなぁ。





『大丈夫。それ、貰って?』

「でもボク何もやってないのに、二つも貰いたくないニャン!」

『十分ギンくんは助けてくれたよ。
……うーん、分かった。じゃあ、コレはさっき私がキミに悪いことをしたから、その分ってことで……どう?』





でも…と、それでも口をモゴモゴしているギンくんに、無理矢理メダルを押し付けた。





『それ、どうしても貰って欲しいの。』


「……分かったニャン。でも!!代わりにボクのメダル三十枚受け取らないと、それ貰ってやらないワン!!」





できればメダル、断りたかったけれど。

真剣な表情で私を見上げて言ってくる、小さな少年にそんなことは出来なかった。




きっと、それはギンくんのプライドだから。

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でででででん(プロフ) - ぁぃぅぇぉさん» (ニッコリ) (2020年8月19日 6時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ - 待って最初のやつポルナレh...やっぱなんでもありません (2020年8月19日 5時) (レス) id: 4f6210d2fe (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - キミ死好きさん» 分かってくれる人がここに…!!ありがとう。 (2020年4月22日 10時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
キミ死好き - まぁあの笑顔みたいな顔iPadの壁紙にしてるから分かるよ (2020年4月22日 10時) (レス) id: bf60227ed4 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - キミ死好きさん» レコの生存ルートで、アリスがボンゴを渡した時に発生する最後のイベントが本当に好きなので……ごめんなさい。 (2020年4月21日 9時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:でででででん | 作成日時:2020年3月30日 19時

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