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その後、少し二人と雑談をした。
ギンくんが嫌いな食べ物はピーマンだそうで、そこから嫌いな食べ物の話になる。ピーマンが嫌いな所も幼気で可愛らしく、思わず笑みがこぼれた。
その後アリスさんにメダルを渡す約束をしていたことを思い出し、二人に別れを告げてロビーを出た。
アリスさんを探すために色々な場所に顔を覗かせると、今まで見たことのなかった場所を発見した。
長い階段の頂上に、ポツンと自販機がある場所だ。
周囲は薄暗く、自販機が放つ光のおかげでかろうじて周囲が照らされているような場所だった。頂上の自販機に目を奪われ、階段を三つ飛ばしで駆け上がる。
頂上に着き、自販機の上にデカデカとした青い二百という数字を見つけた。景品交換所のモノと似ているので、おそらく地上脱出券が此処で売ってるんだろう。
受付の男によれば交換所にはないと言っていたし、二百という数字は大きいので確実だと思う。
しかし脱出には興味がないので、再びアリスさんを探すために階段から降りた。
『あ、いた!…アリスさーん。』
結局アリスさんは、今朝と同じ場所にいた。
最初から此処に来れば良かったと少し後悔したが、おかげで新しい場所を発見できたので良しとすることにする。
私が声をかけると、相変わらずのテンションで返事が返ってきた。今朝の無視を思うと、返事が返ってきただけ幾分か打ち解けた気がする。
『アリスさん、レコさんの宝物……何か聞きたくないですか?』
「な……聞き出せたのか?」
『はい、メダルも集め終わりましたよ。』
アリスさんから反対側の椅子に腰を下ろす。
まずはレコさんのメダルを渡した方が良いだろうと思って、ポケットから彼女のメダルを取り出して机の上に置いた。
するとすぐに、机に置かれたメダルの数を確認し始めた。それを終えると、彼は自分のポケットにメダルをしまう。
それからアリスさんが緊張した様子で宝物について尋ねてきたので、私は答えを伝えた。
「は……?それはありえない………よりによってボンゴ、だと…?」
『え…どうして、ボンゴはありえないんですか?』
アリスさんの様子が急変したので、詳しく聞いてみる。
するといきなりレコさんのバンド名を知っているか、と問われた。
思い掛けない話題の転換に戸惑いながらも、私は知らないと答えた。それを聞いた彼が、窓の外に顔を向けて、レコさんについてポツリポツリと話し始めた。
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でででででん(プロフ) - ぁぃぅぇぉさん» (ニッコリ) (2020年8月19日 6時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
ぁぃぅぇぉ - 待って最初のやつポルナレh...やっぱなんでもありません (2020年8月19日 5時) (レス) id: 4f6210d2fe (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - キミ死好きさん» 分かってくれる人がここに…!!ありがとう。 (2020年4月22日 10時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
キミ死好き - まぁあの笑顔みたいな顔iPadの壁紙にしてるから分かるよ (2020年4月22日 10時) (レス) id: bf60227ed4 (このIDを非表示/違反報告)
でででででん(プロフ) - キミ死好きさん» レコの生存ルートで、アリスがボンゴを渡した時に発生する最後のイベントが本当に好きなので……ごめんなさい。 (2020年4月21日 9時) (レス) id: ff25803fe7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でででででん | 作成日時:2020年3月30日 19時